
アンリ・マティス
「赤いアトリエ」(1911年)
ニューヨーク近代美術館

「色彩の魔術師」といわれる、フランスの画家アンリ・マティスのお話です。
マティスというとフォービズム(野獣派、感覚のままに大胆に原色を使う、という絵画運動)の世界を牽引した存在で、残された作品は、だれもが一度は目にしているでしょう。
その特徴である「あざやかな色彩」。赤、青、黄、緑などを巧みに合わせて描いた絵には「カラフル」というイメージが強いですが、ある資料によると、マティスが使っていた絵の具はたった17色と。
その中で、赤をテーマに考察してみましょう。
「赤いアトリエ」は、タイトル通り、室内がほぼ赤。画家のアトリエの様子ですが、この空間からどのようなイメージが湧くでしょう?
まずは、赤はパワフルさや力強さ。気持ちが昂り、描く絵に躍動感や情熱を注ぎ込む場、と言えそうです。そして、そこはまさに真剣勝負の「戦場」という表現も当てはまるでしょう。
さまざまな作品が飾られていて、何だかおもしろそうなモノたちがある中で、大きな一番勝負に取り掛かろうとしているのかもしれません。
他の人を寄せ付けない空気感。個々にエネルギーを注ぎ込む力を感じます。
赤は、暖色系で動きがあり、興味を引く色ではありますが、その一方で、これほど赤に囲まれた空間は、一歩足を踏み入れるには、勇気や覚悟が必要かも。
それが、他の人を寄せ付けない空気感を醸し出します。
だから、画家にとっての大事な仕事場だと言えそうです。
また、彩度が高い色使いが多い画家(マティスに限りませんが)のパーソナリティーを考えると、何事にもはっきりとした意思の強さや、妥協しない執着心を大切にする人。そこから、関わるコトやモノ、個々にエネルギーを注ぎ込む力を感じます。
何色が好き、ということと共通する部分もありますが、使う色には、その人の心意気が現れると考えて、絵を見るのも楽しいです。







