第七話 長谷川等伯 「松林図屏風」

第七話 長谷川等伯 「松林図屏風」

長谷川等伯
「松林図屏風」(16世紀)
東京国立博物館(国宝)

絵画が楽しくなる『色』のお話 長谷川等伯 「松林図屏風」(16世紀) 東京国立博物館(国宝)
絵画が楽しくなる『色』のお話 長谷川等伯 「松林図屏風」(16世紀) 東京国立博物館(国宝)

今回は日本画から。
長谷川等伯の「松林図屏風」のお話です。
等伯は、安土桃山から江戸時代にかけて(16世紀)、当時、京で一番の御用絵師集団・狩野派の狩野永徳らと同時期に活躍していた絵師です。

この屏風絵は、六曲一双の紙本墨画。
能登から京に出てきた等伯の生まれ故郷、つまり原風景を描いたのではないかと言われています。
いつ、どのような気持ちで、何を伝えたいのか?など、様々な解釈がありますが明確ではありません。でも、なぜか多くの人を魅了する作品です。

当時は「アートセラピー」などという言葉はありませんでしたが、この絵は何年経っても、現代であっても、時空を超えた「アートセラピー」作品だと思います。
その理由は、墨色というモノクロの世界を眺めていると、「五感で見る絵」という感覚になるから。
空気感や温度感、時間、季節、遠近感、そこにある音などを、見る人が見る人の心情で感じると思います。

見る人の感覚がこの絵をどんどん「意味ある」ものに

色の世界のお話をする時、たくさんの色があると、嬉しく楽しくなり、その色の意味を解釈するおもしろさに出逢います。
一方、墨色のグラデーションのみの「松林図屏風」からも、様々な意味を見つけることができます。
それはなぜかというと、無彩色と呼ばれる墨色は「無を有にする」と考えられ、どんな色をも感じさせてくれるからです
そして、日本画特有の「間」余白が語るもの、つまり情報量が少ないから、見る人の感覚がこの絵をどんどん「意味ある」ものにするのだと思います。
それは、自分でそこに自分の心の色をのせていく、という作業を自然にしているのでしょう。

今、色に限らず情報に溢れる社会で生きる私たちだからこそ、この絵を眺めて、「自分の色を感じる」世界を。

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