クロード・モネ(1840〜1926)
「チャリング・クロス橋、テムズ川」(1903年)
フランス・リヨン美術館 所蔵

今回は、フランスの印象派画家クロード・モネの「チャリング・クロス橋、テムズ川」です。
モネというと、一番に思い浮かぶのは「睡蓮」でしょう。彼がジヴェルニーのアトリエで、生涯描き続けた「睡蓮」は、250枚はあると言われています。
モネは、1870年普仏戦争の徴兵を避けるためにロンドンへ行き、その30年後1899年からも何度か訪れています。
そして、ロンドンでの滞在は、サヴォイ・ホテルで、そこからの景色を描いたのです。
当時の近代化の象徴である蒸気機関車、国会議事堂など。それらが、深い霧の中で朦朧とした幻想的なシーンは「ロンドンならでは」の情景です。
それをモネはこのように言います。
「もしも、ロンドンに霧がなければ美しい街ではなかっただろう。霧こそが荘厳な美を街に与えているのだ。」
私は「睡蓮」をはじめ他の作品を観て、モネは紫色を大切にしている人ではないかと感じています。
光の表現を追い求めていたモネが描く世界は、表面ではなく、その内面を描いているのです。それが紫色の精神世界や彼の哲学を意味するのだと思います。
水の青と太陽(とくに朝陽や夕陽)の赤が混ざり合った紫色が、さまざま景色を映し出す光の色として、モネの目に映ったのでしょう。
夕暮れ少し前。黄色やオレンジの陽光が、雲や霧に包まれて、やさしい光へと移ろう時。一日の終わりに、ほっこり。
この「チャリング・クロス橋、テムズ川」も連作で、30点ほどあるので、各々の作品を見る際には、その時間帯や季節、そしてそれを眺める人の心情などを想像しながら鑑賞すると、モネの世界観を感じられると思います。
今回の絵、私は夕暮れ少し前だと感じます。
黄色やオレンジの陽光が、雲や霧(どちらも水)に包まれて、また水面に反射する光も合わせて、その力強さはやさしい光へと移ろう時。なんだか「一日の終わりに、ほっこり」という感じで。







