「思い(情熱)」は「手法(技術)」の上流にある ~はじめての体験~

「思い(情熱)」は「手法(技術)」の上流にある ~はじめての体験~

食アドバイザー 田口三江子が語る気づき発見コラム 常食への旅

No.8:「思い(情熱)」は「手法(技術)」の上流にある ~はじめての体験~

リニューアルオープンからまもなくすると、色々な業者が店に仕入れの滞納金を取り立てにやってきました。

前任の人たちが仕入れ代を滞納していた事は知らされていませんでした。雑誌掲載によって、結婚式の2次会が入るようになりましたが、家賃や人件費、営業のための仕入れ代も足りない状況でした。そんな折、ご縁で出会った飲食店経営をしているY社長に貴重なアドバイスを頂けたお陰でピンチを切り抜ける事ができました。でも結果的には、分不相応な任務と悟り、半年程で退任させて頂くことになりました。

私を待ち受けていた次の現場は、ピンチを救ってくれたY社長の、オープンから半年ほど経った炭火焼肉の店でした。40坪あるその店は、渋谷の焼肉激戦区にあり、56歳の店長、焼肉歴18年のベテラン料理長他6人で回していました。36歳で飲食店経験歴半年の新米だった私はいきなり店長見習い。目標売上の半分に満たない状態だった「この店をなんとかして!」、というのが私のミッションでした。

店のオペレーションの事などは殆ど知りませんでしたが、「お客」としては、少々の自信があったので、まずはお客様目線で店の至るところを改善していきました。

ところが、未熟な私は、元からいる従業員全員の反感を買ってしまい、「やってられない」と従業員3人が辞め、挙句の果てには店長まで辞めてしまいました。残った従業員からはバッシングの嵐…。そんな中、新メニューとして開発した、ホイルの中で5種のきのこをバター焼きにして醤油をかけて食べて頂く「きのこジューシー」が大ヒット。七輪の煙がひどい店内ではゴーグルを貸出ししたり、大きな団扇でお客様を仰ぐサービスをしたり、と、ホールのオペレーションに工夫をこらし、段々とプロモーションもうまくいき始め、半年後には悲願の目標達成を果たすことができました。

「思い(情熱)」は「手法(技術)」の上流にある、ということを知ったはじめての体験でした。

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