色の専門家・草木裕子の色どりメッセージ (9)
5月の自然界は、春から夏を繋ぐ新緑で彩られます。
みなさんは、そんなグリーンを眺めていると、深呼吸をしたくなりませんか?
明るい陽射しの下で、葉っぱからの木漏れ陽を受けて、思いっきり呼吸をしたくなるのは、どうもこのグリーンと関係がありそうです。
これを科学的な解説とは違う色の意味から解いてみたいと思います。
グリーンは、イエローとブルーの混色ですが、それは、左と右(または陽と陰)を表す色です。
呼吸をする時は、左右の肺が循環するので、その混色のグリーンから深呼吸を誘うのだと思います。
また、植物がグリーンになるのはなぜか?と考えた時に思いついたのは、植物には光(イエロー)と水(ブルー)が必要で、ここでもその両方から生まれる色はグリーンなのです。
自然界の色は、このように考えると、とても理にかなっていると言えます。
そして、この春から夏の時季の新緑は明るいグリーンです。
太陽の光がどんどん強くなる時は、やはりイエローの方が多く表れ、そこに瑞々しさが加わり輝きが増すのでしょう。
建物の壁などが日焼けした時の色は、白っぽくなったり、黄色っぽくなるのもこの光の色、イエローの仕業という解説もできそうですね。
紅葉の時期(11月号)にも書きましたが、もみじや桜などの落葉樹は、春にはグリーンに、そして秋にはレッドになり、どちらの季節にも色で私たちを楽しませてくれます。
春と秋、反対の季節は、色も反対の補色になります。自然が一年の循環を色で伝えているようですね。
新緑のグリーンを楽しむ方法は、紅葉と同じで、光が当たっているところはより黄み寄りに、陰になっているところは青みのグリーンに見えるのを意識してください。
そのコントラストが暖かさと涼しさ、活発さと穏やかさなどのバランスを私たちに運んでくれるのだと思います。
胸を大きく膨らませて呼吸をし、心と体の健康を感じ取っていただけたらと思います。