同じ「あお」でも、漢字で表すことで情緒を使い分ける日本の感性。

同じ「あお」でも、漢字で表すことで情緒を使い分ける日本の感性。

色の専門家・草木裕子の色どりメッセージ (16)

夕暮れを迎える時間が早くなりました。
私は、夕焼けの光を名残惜しそうに暮れていく空の色が好きです。

深い青紫色で、群青色とも言います。

色彩を漢字で表すと、よりそれがどのような色かが伝わってきます。
「群青」はインディゴやラピスラズリーの色。
青が群れると書くことから、その深さを表現しているのでしょう。

日本語で言う「あお」には、沢山の漢字での表現があります。

「青」は三原色の純色で、英語ではブルー。

でも、中国語圏では「あお」を「藍」と表します。

中国語では「藍」になり、青は緑色を意味するのです。五行説の東を守る伝説の神「青龍」が緑色なのはそのためです。

また「蒼」は少しくすんだ青色で、「蒼白」などで表すように血色が良くない様子です。

でも、そこにはやさしさや柔らかさが伺えます。
彩度の低さから感じる控えめな印象。
自然界の植物の色としても使われます。

また「碧」もあります。
ターコイズブルーで青緑を表します。特に海の青を伝える時に使います。

「紺碧の海」は、底知れぬ深い青緑の神秘的な海を表します。これは、夜空の色、宇宙の色に近付いていくことが興味深いですね。

上に行っても下に行っても遠く離れていくほど、色は光が少なくなり、目で見ることができない、手が届かないことを意味しているのでしょう。

だから、それだけ憧れであり、幻想的な世界を表すのだと感じます。

同じ音(読み)なのに、漢字で表すことで情緒を使い分ける感性を持っている日本人だからこそ生まれた文化がたくさんありそうですね。

「あお」以外に「あか」もそうです。

「赤」「紅」「朱」などそれぞれに違いがあります。
中国語では、日本で使う「赤」は「紅」で表します。

先日、講座のために訪れた台湾では、そんな中国語と日本語の共通の漢字、そして世界共通の色彩が、現地の人々とのコミュニケーションを楽しくしてくれました。

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