滋賀麻

滋賀麻

職人さんが我が子を育むように紡ぐ、人の肌に寄り添う近江の麻。

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?

梅雨空の心が晴れない日が続きますね。
湿気で衣類や寝具もじっとりして、着心地、寝心地が悪い・・・。
ぐっすり眠れない・・・。

暑がりの私は、梅雨~夏の寝苦しい季節に心地良い寝具や衣類はないものかと、ずっと前から探していました。

そんな時に、我が社の”目利きのプロ”中村優美(通称ゆうちゃん)が、「ガッツさん、私、長年あたためてきた商品素材に”麻”があるんです。やはり日本の梅雨と夏を快適にするには、日本人の細やかな心が行き届く国内生産しかないと思っています。日本は本来麻と共に生きてきた民族。乾燥しやすい麻は湿潤な環境と、織物を洗うきれいな水が必要です。本当に素晴らしい麻織物は、それに適した地で自然を活力しながら、職人さんが我が子を育むように紡いでいるので、本当に呼吸しているみたいに吸湿発散性もよく、やさしく人の肌に寄り添ってくれますよ。滋賀の東近江に素晴らしい技術で”究極の麻”を紡ぐ知る人ぞ知る老舗企業がありますので、一緒に行ってもらえませんか?」。

目を輝かせながら、本当にいい会社、いい商品を見つけた!というゆうちゃんのイキイキとした語りに、「それは、お客さんの代表として行ってこなあかんなぁ」と返し、さっそく二人で滋賀県の東近江へ出かけて行くことになりました。

職人さん達が糸や生地と対話しながら、
呼吸を合わせて麻に懸ける願いや思いを織物に込めていらっしゃるその姿。

琵琶湖の東にあるその会社は「滋賀麻工業株式会社」といい、麻織物製造を戦中から立ち上げられて、麻一筋で職人仕事を守り抜かれている会社でした。

敷地には小さなお社があり、まずは一礼してから会社に入らせていただきましたが、そこで私達を迎えてくださったのは、寝具事業部の西村部長さんでした。
この方は、綿製造会社に長く勤めてられていましたが、縁あって滋賀麻工業さんに転職された方。とにかく純朴で人が良く、とても謙虚なお人柄がにじみ出ておられました。

「山口社長、私は以前”綿”の世界にいた人間ですが、この会社に来て、麻の魅力と麻繊維の製造の難しさと素晴らしさ、そして職人さんの物づくりの気概を肌で感じて、今は何とかこの本物の麻繊維を世の中に知ってほしい、役に立ててほしいという思いで仕事をさせてもらっています。

私自身が夏は人一倍寝汗をかく人間で、寝苦しくて何度も起きて睡眠不足になるし、朝は寝床が汗だくで気持ち悪い。
その上なかなか乾かず不衛生・・・。本当に夏に眠るのが苦痛の人間でした。

それが、一人のユーザーとして滋賀麻の寝具を使い出したら、その日から寝汗はかかないし、涼しいし、気持ちいい。
本当に朝までぐっすり眠れたのにはビックリしました。
もちろん寝床はサラサラで、目覚めの爽快さがまるで違います。

麻の清涼感と、水分や空気の吸収・発散させる自然の麻の力が皮膚感覚に近く、体の芯からリラックスさせてくれるから、夏の寝苦しさを解消してくれたのだと思います。
そんな私の経験から言っても、夏場は本当に麻に助けられますよ」。

まさに人と自然と麻(植物)のハーモニーが織りなす織物……sigaasaブランド。

お会いして30分も経たない間の西村部長の屈託のない自然体のお話に、私は共感することしきりでした。

私自身、夏場の寝汗にはずっと苦しんでいましたので、夏を迎える前に、さっそく同じ悩みを抱えるお客様にご紹介したいと考え始めていました。

そこでゆうちゃんが「ぜひ工場を見学させてもらえませんか」とお願いし、西村部長に快く案内していただけることになりました。

ゆうちゃんは、前職も含め日本の有名通販会社を3社経験し、主にアパレル畑が長かったので、繊維メーカーの製造現場や製造の方々に数多く触れ、物づくりに対する独自の視点や判断基準を持っています。

自分の目で確かめ、物に触れて実感するその感性に、「やっぱりたくさんの物を見て、現場に触れてきている人の目のつけ所や感度は凄いなぁ~」と感心することもよくあります。

ですが、滋賀麻工業さんの製造現場には、そんな彼女の目にも鳥肌ものの光景がたくさん映りました。

糸を撚る機械を手仕事で細かく調整しながら動かす職人。切れやすい麻糸を、縦糸・横糸の絶妙なバランスとスピード感で正確かつ丁寧に織り上げる職人。

出来上がった生地をガサッと機械で裁断するのではなく、1本の糸を抜いて、そこの0.数ミリの抜け目にハサミをまっすぐ通して、生地が傷まぬよう一枚一枚手作業で裁断していく職人。
よく手入れされ、使い込まれた機械や道具。

そして何より、職人さん達が糸や生地と対話しながら、呼吸を合わせて、麻に懸ける願いや思い、歴史や人生を織物に込めていらっしゃるその姿。

これには目利きのゆうちゃんもそのセンサーが振り切られた様子でした。

それだけではありません。

原料の麻を糸や繊維に仕上げたり、生地に織りあげた後の「のり落とし」、ちぢみ織りにする場合の「より」をかける際に使う水は、鈴鹿山脈の地下水伏流水を汲みあげて使っているので、糸や生地が歓んでその特長や良さを醸し出してくれています。

麻の心地いい凹凸の「しぼ」は、綿のクレープとは違い、半永久的に形や効果を持ちますが、そのしぼも職人的な手間ひまと、この伏流水が象ってくれています。

まさに人と自然と麻(植物)のハーモニーが織りなす織物。
それが滋賀麻工業さんの”shigaasaブランド”
だと思いました。

そして、イキイキと楽しそうに、生き甲斐を持って物づくりされている職人さん達は、男女を問わず50~60代の方々。
今でも現場をあちこち回り、厳しく優しく指導されている”近江麻の生き字引”と言われる会長さんは70代後半。

さらに、伝統の中に革新が欲しいと究極の寝具作りに生命を懸けて、ついに業界の常識を覆す「洗える麻わた」を開発し、独自の麻の敷パッドを産み出した専務さん(残念ながら昨年亡くなられたそうです)も70代でしたが、そんな熟年世代の方々が地上の星となり、今なお、”究極の麻”作りを通して、世のため、人のために輝いておられる。

その輝きや想いは、きっと作り手の「最高傑作」となって、夏の眠りに涼しさ、心地良さ、安心感を与え、私達に眠る歓びをもたらしてくれるでしょう。

帰り道、これからも滋賀麻工業さんのような会社や商品を見つけて、お客様と一緒にその魅力と恩恵を味わっていければ、これ以上の歓びはないね、とゆうちゃんと二人、幸せな気持ちになりました。

感謝

Guts

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