平垣美栄子

  • 2023.02.01

最終回「風 笑う」

「風 笑う」 ずいぶん冷えこむ日が多くなってきました。植物たちも森の動物のように冬眠に入ったみたいに静かに暮らしています。 凍て空を見上げると、思った以上に青空で、薄っすらと砂を撒いたような雲が流れていました。頬に当たる風が急に冷たく感じて、遠い昔にも、母に手を引っ張られながら空ばっかり見てたことを思い出すのです。 そう、空ばっかり見ていました。 だって、子どもの時は、空に浮かぶ雲が不思議で仕方な […]

「ほんま、面白いなぁ」

「ほんま、面白いなぁ」 「母がなくなりました」。 その声は、同級生の娘からでした。どういうこと…?私の中で混乱の渦がおこっています。 娘さんは続けて、淡々とお通夜と葬儀の日時を私に伝えています。 そんな風に淡々と話すのは、先に要件を伝えなければ、到底最後まで喋れないからだと言うことは悲しいくらい伝わりました。 高校の頃の彼女は、大柄でさばさばしていて、運動も勉強もできるのに決して驕ることがなく、誰 […]

連載4 「微笑みの瞑想」

「微笑みの瞑想」 施術を教えてという要望に何度も応えてきて、いくつか思うことがあります。 最初から技術は上手くなるはずもなく、みんな手順を覚えるのに必死になって、本来の目的を忘れてしまいがちだということです。 眉間にはシワがより、間違ったことをしてしまった時にはアワワとパニックになり、ますます肩に力が入ります。本来なら、前にいるこの人を“癒す”ことで良いわけですから、手順を忘れてしまっても、心を落 […]

  • 2022.08.01

連載3 「笑い」は、施し?

「笑い」は、施し? 美栄子さんの笑顔に会いたい、と言われたことがあります。 “私”ではなく“私の笑顔”ですか? そんなこと言われたら、悲しい時に悲しい顔ができなくなりますね。 そんな風にお返ししたら、「美栄子さんのお話会で、辛い話も笑顔で話されていて、反対に私が泣いてしまったんです」と言われました。 そこまで自分が笑い顔になっていたとは気づきませんでしたが、このコラムでも話したように、子供時代の笑 […]

連載2 好きなことで生きてる?

好きなことで生きてる? 春爛漫の季節が終わらないうちに、いろんな花に出会っておきたい。そんな思いから夏まで植物三昧の旅が続きます。 いつも旅から帰って友人達に自慢の写真を見せると、必ず、「なんだ、植物しか撮ってないの?」と呆れられてしまいます。それも華やかなローズとかならともかく、植物に馴染みのない人には名前もわからない草の写真が並んでいるので、「・・・雑草だね」と言われる始末。 でも全然へっちゃ […]

  • 2022.04.01

連載1 どんな笑い方をしていますか?

どんな笑い方をしていますか? 変な笑い方を撮るのが好きだ、と言う映像のカメラマンさんがいました。それまた変わった人だな、と思っていたら、ちゃっかり私も撮られていて、マンガみたいに「ふふふふふふ」と高い音で妙に甘い笑い方をしていました。女の人の笑い方です。 もちろん性別は女性なので間違いはないのですが、カメラの前で、いつも無い緊張がそうさせたのではないかと思います。 いつもどんな笑い方をしているかと […]