連載3 「笑い」は、施し?

連載3 「笑い」は、施し?

「笑い」は、施し?

美栄子さんの笑顔に会いたい、と言われたことがあります。

“私”ではなく“私の笑顔”ですか?
そんなこと言われたら、悲しい時に悲しい顔ができなくなりますね。
そんな風にお返ししたら、「美栄子さんのお話会で、辛い話も笑顔で話されていて、反対に私が泣いてしまったんです」と言われました。

そこまで自分が笑い顔になっていたとは気づきませんでしたが、このコラムでも話したように、子供時代の笑顔の特訓が、今の私を作っているのは間違いないようです。

「三つ子の魂百まで」なんて言いますが、何かの技でもないし、ニヤけた顔じゃあ、何の役にも立たないなぁ、なんて思っていたところ、知人のドクターに、「仏教に和顔施という言葉があるの知ってる?美栄子さんはその和顔施で、人を癒やしている人なんだよ」と教えていただきました。

仏教用語ですが、『無財の七施』(7つの施し)という修行があって、その中にある一つの施しです。
和顔施(わがんせ)とは、やさしい微笑みをもって人に接すること。
笑顔は雰囲気を和らげ、気持ちを優しく明るくしてくれるものだから、そこにただいるだけでなんとなくその場の空気が明るくなり、そこにただいるだけで、みんなの心が安らぎます。
赤ちゃんが笑っていると、誰しも笑顔になってしまうのは、赤ちゃんの生まれ持った技、和顔施ということかもしれません。

和顔施の他に、優しい眼差しを持って人に接するという眼施(げんせ)や思いやりを持った言葉をかける愛語施、身を持って思いやりを示す身施、心を込めて思いやりを示す心施、人に場所や席を快く譲る床座施、人に宿泊や休憩の場所を快く提供する房舎施(ぼうじゃせ)。

これは、私もかなりできています。
時々、家に帰ったら他人様に「お帰り」と迎えられます。
何もできないから、なんて思っている方がいたら教えてあげてください。
「笑顔で人に接するといいよ。人を助けることになるかもしれないよ」と。

そして。いつか笑顔で会いましょう。

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