「ほんま、面白いなぁ」

「ほんま、面白いなぁ」

「ほんま、面白いなぁ」

「母がなくなりました」。

その声は、同級生の娘からでした。どういうこと…?私の中で混乱の渦がおこっています。
娘さんは続けて、淡々とお通夜と葬儀の日時を私に伝えています。
そんな風に淡々と話すのは、先に要件を伝えなければ、到底最後まで喋れないからだと言うことは悲しいくらい伝わりました。

高校の頃の彼女は、大柄でさばさばしていて、運動も勉強もできるのに決して驕ることがなく、誰からも好かれる素敵な女性。どちらかというと優等生な彼女がなぜか、どちらかというとはみ出し者の私と仲良くなった。卒業旅行の写真の中の2人は、いつも大笑いしている。

自分のことをはみ出し者と言いましたが、私は大きな権力が大嫌いな子供で、高校生の私にとってその存在は、「学校」という組織でした。かなり封建的だと感じていて、当時、委員会の分担は委員長(その学校では組長と呼んでいた)を筆頭に副組長、風紀、経理、保健、などが続きます。

選ばれるのは成績の順番で、立候補ではなく有無も言わさず任命されてしまいます。60人もいるクラスの中で、なんと運悪く私は経理を任命されました。
けっして自慢ではないのですが、私は勉強が好きだった頃があり、まあまあ成績も良かったのです。
だから経理係。
人生で1番笑えなかった時代ともいえます。
亡くなった彼女も確か何かの委員をしていたと記憶しています。

卒業後の何度かの再会でも学校の話をすることは無かったけれど、会う度に彼女は私に言うのです。
「ほんま、面白いなぁ」。
そう言って、ノーメイクの美しい彼女はいつも私の近況を聞いては笑ってくれたのです。
そしてこんなことを言ってくれました。

「平垣美栄子は、いつも誰も言えんことを言って、誰もできんことをやってくれるんよ。自慢の友達よ」。

今の私はどうだろうか。こんな私を見てまだ同じように笑ってくれるだろうか。
明後日、最後の挨拶に行きたいと思います。

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