連載11 「何も言わずに見守って、見えない心の根っこを育てていきましょう」

連載11 「何も言わずに見守って、見えない心の根っこを育てていきましょう」

子どもの力を信じ、応援し続ける

園で、久しぶりのお誕生日会をやりました。その日に手作りのケーキをトッピングして作っていくのです。やりたい子がやりたいようにトッピングする、ということで、大人が仕切ることはありません。生クリームを箱から出すこと、バナナやミニお菓子を好きなように並べることがとても楽しそう。大きい子も小さい子もいるので、やる子と見る子に自然と分かれ、年長さんになったら堂々とやり始める子もいます。大人がそばにいると、こうしたら?順番にやったら?と、統制をとったり規律を作ったりしてしまいがちですが、一人の子ばかりが好きなようにやっていたとしても、よっぽどのことがない限り見守ります。
この例でいくと、「早く変わってほしいな~」「〇君ばかりずるいな」と感じたとしたら、それをどう表現していいのかを自らが考えてほしいのです。
そして、言えずに不満が残るのだとしたら、それを自分で消化するしかないのです。

以前在園していたA君がB君のことを嫌っていました。A君がB君に何かをされていたわけではないのですが、ガキ大将タイプで強い態度のB君は自分と性格が真反対だったため嫌だったのです。そのA君が高校2年生になり会いに来てくれました。私は忘れていたのですが、A君は、B君が嫌いだったことを話し始めたので思い出したのです。結局あの嫌いがあって本当に良かったと言うのです。その後も不快に思ったこと、思い通りにいかないことがあったけれど、幼少期の土台を基準にたくましくなれたそうです。
大人はよかれと思って先に道を作ってしまいがちです。苦労しないように、迷わないように、失敗しないように、と。
それが本当に子どものためになるのか、子どもの力を信じ、応援し続ける覚悟があれば、何も言わずに見守れるのかもしれません。見えない心の根っこを育てていきましょう。

みんなで情動発散あそび!

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