連載9「賢くたくましく生きる知恵を、自分の感覚に従ってつけていく時代へ」

連載9「賢くたくましく生きる知恵を、自分の感覚に従ってつけていく時代へ」

生きていく力、本能を人は必ずもっています

もう今年も5ヶ月が過ぎようとしています。年を重ねるほど時間が経つのがあっという間なのは、残りの時間が少ないと本能的に感じているからでしょうか。この令和2年の始まりに、ウイルスによる自制自粛、学校がお休みになるという状況、オリンピックの延期、誰もが予測していないことが起きています。思えば、9年前の震災の日もそうでした。
川崎に住んでいる私は、大きな地震とライフラインが滞り、日の光を頼りに目覚め、夜寝る家があることに感謝をしました。
何事もなく日常生活を送れることは当たり前のことではなく、奇跡です。災害に限らず、自分の体、家族の健康も自分ではどうにもできないことが実際にあります。その時!どのように思うのか、どう感じ、どうしたらよいのかを考えるのが、人の力です。

遠く人間の祖先は、爪も牙も毛もなかった時に“知恵”を働かせました。自然の中で、動物や植物を観察し、一人ではできないことを知り、共同体を作り、助け合いながら生き延びてきました。目の前に人がいて、目の前の人の心を感じ、交流をしていたのです。
その生きていく力、本能を人は必ずもっています。生まれて一年もたたない赤ちゃんは、目と、出している“気”で会話をします。「こんにちは」「あなたはだれ」「だいすき」。そして、自分の味方なのかそうでないのかを瞬時に判断しています。
冷暖房完備、除湿に除菌、快適な環境はありがたいことだけれど、人間という動物的な五感は使わなくてもよくなってしまっています。
これからは、個々が賢くたくましく生きる知恵を、自分の感覚に従ってつけていく時代へ移行している気がします。自分がどうしたいのか、何を今食べ、どんな服を着るのか、その簡単な決定さえも、自分の選択の連続であり、今の自分を作っているものなのでしょう。人には見えていないと思っている自分の腹の中と、自分では見えない自分の背中。心で思った通りになる世の中です。ドキッ!ですね。

一人ひとりの心の声に耳を傾けて。

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