発酵のプロセスはまさに身体の外の腸内フローラのよう

発酵のプロセスはまさに身体の外の腸内フローラのよう

発酵のプロセスは、まさに“身体の外の腸内フローラ”のよう。
さらに、発酵食品に含まれる微生物や発酵産生物が私たちの腸内フローラを元気づけてくれるので、一石三鳥!

今や「健康のために発酵食品を摂る」のは常識。でもちょっと昔を振り返ると、“発酵”は特別なものではなく、当たり前のように暮らしの中に発酵食品がありました。今回は、山形出身・三世代同居・発酵文化のど真ん中で育った私の発酵生活と、発酵と健康の関わりについて語ってまいります。(スタッフ/吉澤)

発酵で別ものの美味しさになる。その変化が楽しくて・・・。

私が“発酵”と出会ったのは、小学生の時。一緒に暮らしていた祖父が大の甘党で、冬になると必ず糀を買ってきて、羽釜でおかゆを炊き、糀と混ぜて発酵させ、甘酒を作っていました。

祖父の甘酒はびっくりするほど甘く美味しくて、そのうち私も甘酒作りを手伝うように。
「温度は高くても低くてもダメ」と、羽釜を毛布で包んでコタツに入れたり、少しだけ火にかけたりして65度を保つ“甘酒のお世話”をしたこと、それが私と発酵の出会いでした。

その他にも発酵食品は身の回りにたくさんありました。お漬物も立派な発酵食品。畑で山ほど採れる野菜は漬物に。夏は、漬け汁を毎日沸騰させては瓶(かめ)に戻すきゅうりの古漬など。晩秋になれば、庭の渋柿を剥いて干し柿にし、柿の皮は百本余りの大根と一緒に干して漬け込んでたくあんに。白菜、青菜(せいさい・山形野菜)など納屋には一抱えもある漬物樽や味噌樽が並び、発酵熟成が進んで美味しくなっていきます。新鮮な野菜が採れない冬も、こうした発酵野菜をふんだんに食べていたから、家族みんなが健康だったのかもしれません。

幼い頃から「発酵が進むと美味しくなる」と身体で覚えてきたので、大人になって東京に出てきてからは、自家製天然酵母のパン、糠漬、粕漬、アンチョビ、ザワークラウトなど、さまざまな“発酵のお世話”をするようになりました。

例えばザワークラウトなど、生でも美味しい千切りキャベツを塩と混ぜて置いておくだけで、別ものの美味しさになる。その変化が楽しくて発酵食品づくりにはまっていき、次第に発酵と健康の関わりについても興味を持つようになりました。

私たちの生命は菌たちと助け合ってこそ、いきいきと輝ける・・・。

果物や野菜や糠には天然の酵母菌や乳酸菌がついていて、先人の知恵に従い糖分・塩分・水分などを適切に加えることで、上手に発酵させることができます。発酵が失敗して腐敗になることもありますが、経験を重ねると、菌の勘所がわかるようになるのか、家の中に発酵系の菌が住み着き始めるのか、失敗しなくなるのも不思議なところです。

美味しい発酵食品になるまでには、素材の中で“菌のせめぎあい”が起こります。素材を仕込むと、その栄養素(糖分・でんぷん・タンパク質・脂肪など)を菌が食べる(分解する)ことで繁殖が進みます。そのうち酸を作り出し、他の菌の繁殖を抑えるような乳酸菌や、酸に耐えられる酵母菌などが優勢となり、大腸菌などの雑菌は劣勢に・・・この“菌のせめぎあい”、何かに似ていませんか?
そう、私たちの腸内フローラで起きている“菌のせめぎあい”とそっくりです。

具合よく発酵してきた素材は、得もいわれぬ香りが出て、しんなりと色が変わってきます。食べてみると旨みや酸味が加わって、新鮮だった頃より複雑で深みのある美味しさに。これは、素材の栄養分を多様な菌や酵素が分解し、旨味となるアミノ酸が生まれたから。
元の素材には無かった美味しさが加わるだけではなく、私たちが食べる前から菌や酵素が素材の栄養素を分解しておいてくれるので、発酵食品の栄養素は身体に吸収されやすいのです。発酵のプロセスは、まさに“身体の外の腸内フローラ”のようですね。
さらに、発酵食品に含まれる微生物や発酵産生物は私たちの腸内フローラを元気づけてくれるので、一石三鳥! 時代とともに敬遠されつつあった発酵生活も、菌活・腸活の有効性が認められ、熱い注目が集まっています。やっと時代が私に追いついてきた?!

今は温度管理できる家電や発酵食品セットなども販売され、簡単に発酵食品が作れるようになりました。とはいえ、忙しくて“発酵のお世話”どころではない時は、 『濃密エンザ×プラセンタ』や『土のフローラ』などを愛用しています。

先日、発酵あずきの取材でお会いした栗生隆子さんが「弱っている時は、菌たちの生命力に助けてもらって元気をいただく」とおっしゃっていました。
それを聞いて自分の体験と照らし合わせてストンと納得!
腸内フローラしかり、発酵食品しかり、私たちの生命は菌たちと助け合ってこそ、いきいきと輝ける・・・。

これからも、おなかの中で外で、菌たちと仲良くしていこうとあらためて思うこの頃です。

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