音楽とマクロビオティック
12月8日はあの真珠湾攻撃の日であると共に、お釈迦様が悟りを開いた日として知られる。また、鍼灸の針供養の日でもある。しかし、何より私にとって忘れられないものはアメリカの学校の先輩が亡くなった日であることだ。
その名は、ジョン・レノン。音楽で社会情勢に反旗を翻し、一方で愛や自己の内面を詩と音楽でストレートに表現した稀代の表現者。彼は、1968年、「マクロビオティックに関する短いエッセイ」と題したイラストと文を「ハーモニー」という自然食雑誌に書いた。ジョンと妻ヨーコが玄米食を10日間実践した後、引き締まった体になり、空高く飛翔していくという内容だ。1976年には、私が学んだボストンのKushi Institute(略してKI)でセミナーを受講していたが、ファンやマスコミが騒ぎ始めたせいで中退を余儀無くされたという。
ジョンの勧めでマクロビオティックを始めたのがジョン・ケージ。あの有名な4分33秒の間、一音も発しない「無音の音楽」などで知られる前衛的音楽家だ。私は1993年のアメリカ滞在中、ケージにマクロビオティックを指導した久司道夫氏(ボストン)、鍼灸指圧治療をしたシズコヤマモト氏(ニューヨーク)、そして書道を教えた僧侶・田中成明氏(メイン州)の三人の日本人にインタビューをする機会を得た。彼は、マクロビオティックの食事に変えて一週間で鎮痛薬アスピリンが不要になり、それまで15年間毎日12錠も飲んでいたのに、いらなくなったという。
マクロビオティックの素晴らしさをいち早く察知したアーチスト達。
私は、時々「三人のジョン」という講演をしている。前述の二人に加えてもう一人のジョンもご紹介しよう。大ヒット曲「カントリー・ロード」で知られるジョン・デンバーだ。彼もまた、マクロビオティックの食事をこよなく愛した。食事を変えたことで、身体がスリムになり、より一層ピュアな声が出るようになったと喜んだそうだ。
世界で最も多くの音楽CDを売り上げた女性歌手としてギネス記録にも載ったマドンナの専属シェフは私のKI時代の親友だ。
東洋そして日本の英知のマクロビオティックの素晴らしさをいち早く察知したのは、感性の優れた彼らアーチスト達だった。