Episode-6 大和言葉と陰陽

Episode-6 大和言葉と陰陽

音楽とマクロビオティック~三人のジョン

「言霊の幸はふ国(ことだまのさきわうくに)」。
日本食と日本語の叡智は深い。

マクロビオティックの陰陽論では、それが「広がる」拡散のエネルギーなのか、「縮む」収縮のエネルギーなのかに注目する。私は、それを子供達でもわかるようにジャンケンでパッと手を広げる「パー」と、グッと拳を握る「グー」で表現している。
狛犬、仁王、沖縄のシーサーなどでは、口が開いている方を阿形(あぎょう)、閉じている方を吽形(うんぎょう)と言う。「阿」が広がる「パー」のエネルギーで、「吽」が縮む「グー」のエネルギー。2人の人物が呼吸まで合わせるように共に行動している様を阿吽(あうん)の呼吸、阿吽の仲などと呼ぶ。
古代インドのサンスクリット語では、「阿」は最初に出す音、「吽」は最後の音であり、それぞれ宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされ、両者を合わせた「AUM」がインドの諸宗教の聖音となった。浄土宗の「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」、日蓮宗の「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」、禅宗の「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」に共通する「南無」も、「N・AUM」と広がる「A」音と、縮む「UM」音の組み合わせである。西洋語のドイツ語もアー、ベー、ツェー、フランス語もアン、ドゥ、トロワと「A」音から始まっているが、「UM」では終わっていない。日本語の五十音はサンスクリットと同じく「あ」から始まり「ん」で終わっているのは興味深い。

日本語の「さわやか」という言葉は、全て「あ」行、これを体を縮めて言ってほしい。とても違和感を感じるだろう。さわやかと言えば、手を広げ、口を広げて、体が伸び上がる感覚になる。
握力を測る時はどんな言葉が出るだろう。力む時に出る音は「うん」だ。果たして「あ」音を出しながら、力が入るかどうかを確かめて欲しい。
日本語の一つ一つの音は身体性に根ざしているのだ。
言葉の語源は「ことのは」。「こ」は、固・個・凝・凍など『凝固』、「と」は、戸、閉、止、泊など『閉止』、「は」は歯・葉・刃・端など『発現』を表す。 山上憶良が言うように、日本はまさに「言霊の幸はふ国(ことだまのさきわうくに)」、日本食と日本語の叡智は深い。

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