見方が変わると世界が変わる。
TAO塾には、様々な世界地図が壁一面に貼られている。
地図の中央が日本のもの、米国のもの、欧州のものなどなど。
日本が真ん中の世界地図しか知らない生徒さん達は、これらの地図を見て不思議に思い、あれこれ質問してくる。
私はこう言う。
「皆、自分の住む国を中心に世界を見るのです。西欧の人が日本のことを〝Far East(極東)〞とか言うのは、西欧を中心に見るからです」。
一番人気の地図は豪州で購入した南半球が上で北半球が下の逆さま世界地図。
「産業革命が西欧で起こり、西欧の国々がこの物質文明をリードしてきました。印刷技術も発達し、西欧を中心にした世界地図がこんなに流布したのです。でも考えてみれば南半球が上にあってもいいのですよ。だって地球を宇宙的に見れば上も下も右も左もないのですから」。
ミクロにもマクロにも自由自在にみていける。
「複眼思考」こそが、プロアクティブな人の思考法
もうひとつ、TAO塾の壁には西洋医学と東洋医学の人体図が並べて貼られている。現代医学の「解剖図」しか見たことのない現代人の目から見ると、東洋の人体図には随分違和感を感じる。
ツボや経絡が描かれ、ズボンを履き、帽子をかぶり、ヒゲまで生やしている。
しかし、頭ごなしに非科学的な迷信と侮ってはいけない。現代医学が見落とした人格や目に見えぬ氣の流れを図示しているのだ。
西洋医学は、要素還元主義で病因をつきとめる分析的医学であるのに対し、東洋医学は身体全体のアンバランスから病気が発症すると考える包括的医学。
いわば、西洋的なアプローチはbio(生命)をミクロに捉えていくMicro‒bio-tic なのに対し、東洋的なアプローチはマクロに捉えていくMacro‒bio‒ticである。
それらの長所を引き出し、短所を補いあった、ホリスティックな医療が今求められている。
同じ地球も、人体も、見方を変えると違った世界が観えてくる。
様々な角度から物事を見つめ、ミクロにもマクロにも自由自在にみていける「複眼思考」こそが、先見の目を持つプロアクティブな人の思考法ではないだろうか。