chapter2 ボクらはエネルギーを食べている

chapter2 ボクらはエネルギーを食べている

本来、野菜が持っている自然の「うまみ」やエネルギーを存分に引き出す料理法『重ね煮』。

「自分が備えもって生まれてきたものを

自分や自然界のことを日常の中で知る手立てとして、「食」は体感もあり、大きな機会になります。それを知る切り口になる3種類の料理教室の中から、今回は『重ね煮』料理教室でお伝えしていることを書きます。
ボクがお世話になっていた「わら」の船越さんが師事していた、故小川法慶氏が考案し、「わら」の料理法の基本中の基本となっていたのが『重ね煮』です。
重ね煮とは、野菜を同じようなサイズに切って、自然の摂理に合わせて素材ごとにお鍋の中で層のように重ね、ほんの少しの塩をふり、これにじっくり火を加えて、基本的に野菜の水分だけで蒸し煮にしていく料理法。野菜それぞれが持っている力がお互いに影響し合い、全体が調和して、ただ蒸したのとは違う美味しさを引き出してくれます。

そうなる背景に中国思想に端を発した宇宙原理「陰陽論」があります。葉菜など上に向かって伸びる遠心力で成長し、体をゆるめ冷やす「陰性」の強いものから、根菜など下に向かって伸びる求心力で成長し、体を引きしめ暖める「陽性」の強いものへという順番で野菜を重ねていきます。これに火を加えることで、上に向かおうとする力と下に下がろうとする力が働き、それがお互いに影響し合って、お鍋の中で自然界のバランスと調和のエネルギーが働いて、素材の持つ本来の甘味やうまみを引き出すことができるのです。

基本的に、水を加えていないので、冷蔵庫で1週間くらい保存ができ、そのまま食べても美味しいのですが、ダシいらずで味噌汁が作れたり、うどんつゆ・和え物・サラダ・筑前煮・グラタンにいたるまで、お肉や魚介・ダシやうま味調味料、砂糖・みりんなどの甘味調味料に頼ることなく、塩や醤油などもごくわずかで、いくらでもアレンジ料理を展開していくことができます。
また、身体も調和した状態になるので、一食食べただけでも不調箇所が解消する方も多いです。我々は、食事によって栄養素やカロリーや質量だけでなく、宇宙のエネルギーも取り込んでいることも知っていただきたいのです。

重ね煮の作り方

重ね煮の作り方

下から

  1. しいたけ しめじ えのき たけのこ わかめ 昆布 ひじき など
  2. なす トマト きゅうり いんげん 豆類 など
  3. ブロッコリー キャベツ 小松菜 白菜 長ねぎ など
  4. じゃがいも 里芋 さつまいも かぼちゃ など
  5. 大根 玉ねぎ にんじん ごぼう れんこん など
  6. 米 麦 あわ ひえ きび とうもろこし など
  7. 白身魚 えび いか 貝類 など
  8. 一番上に塩をひとつまみ振る

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