「デザイン=コミュニケーション」。「言葉」より雄弁なコミュニケーションができると思いますし、そういうものを創りたいと、日々思っています。
プロ・アクティブ オリジナル商品『糀ドリンク 結』に始まり、『濃密エンザ×プラセンタ』、『髪萌シリーズ』のパッケージをデザインしてくださった小玉文(こだまあや)さん。
洗練された美しいデザインは、お客様からも称賛のお声をいただいています。
昨年から今年にかけ、『結』の醸造元でもある今代司酒造の純米大吟醸「錦鯉」商品パッケージで、「Design for Asia Awards 2015 Bronze Award」を受賞、ドイツでは「デザイン界のオスカー賞」ともいわれる「iF DESIGN AWARD 2016 」を受賞されました。
今をときめく新進気鋭のデザイナーであり、母校の東京造形大学で非常勤講師というお顔ももつ小玉さんから、お話を伺いました。
商品にかける想い。それを十分に聴いて咀嚼し、形にできたからこそ良いものに。
プロ・アクティブさんとの初仕事は、『糀ドリンク結』でした。
まず「〝食〞から美と健幸を」というコンセプトがあり、日本の伝統食品「糀」と世界のハーブ・和漢植物素材をブレンドした「糀ドリンク」という商品がすでに出来ていました。
そして、『結』という言葉の持つ女性らしさ・柔らかさ、目指したい雰囲気…そういった〝商品への想い〞を聴けたことが良かったです。
そこが見えていないのにデザインしようとすると、着地点も見えないんですね。
『結』をはじめ、プロ・アクティブさんのお仕事は、まず商品があり、その商品にかける想いがあったので、それを十分に聴いて咀嚼し、形にできたからこそ良いものとなったと思います。
そもそも、デザイナーになろうと思ったのは、高校時代。進学校で同級生たちが有名大学を目指す中、私は、勉強だけではつまらない、そして絵を描くのが好きだったことから、美大に行こうかと。当時の予備校の先生がグラフィックデザイン出身で、往年の素晴らしいデザインに触れさせてくださったのがきっかけで「デザイナー」という道に深くはまっていきました。
新卒で「粟辻デザイン」に入社し(※注)、パンフレット等の紙面デザインや、商品パッケージのデザインを担当しました。
そこで今代司酒造や古町糀製造所のデザインをさせていただいたことで、プロ・アクティブさんの『結』につながったんです。
今回受賞した「錦鯉」は、今代司酒造のシンボルとなるような商品を開発しようというところから生まれました。
戦後、清酒を水で薄め、金魚も住める「金魚酒」と揶揄されるような売り方をしなければならなかった物の無い時代、今代司酒造はそれをやらなかった。その心意気を「錦鯉」になぞらえました。
白いボトルに錦鯉の模様を焼き付け、外箱を錦鯉の形にくり抜くことで、穴から覗く錦鯉は今にも泳ぎ出しそうに見える…。
ボトルと箱、両方あって成立するデザインです。
ボトルは、ラベルを貼り付けるのではなく、模様をボトルに焼き付けています。ガラス瓶のくびれた部分にも模様を入れるためには、転写シートを手作業で貼り、窯で焼かなければなりません。
普通であれば実現しないほど手のかかるデザインですが、ブランドのシンボルとしてその価値を認め、容認してくださる…それは、今代司酒造さんの凄さだと思いますし、有難いことだと思っています。
※注/現在は独立され「株式会社BULLET」代表。
デザインは、自分の哲学を求め続けるもの。そのぶつけ合いが面白いんです。
現在、母校のグラフィックデザイン専攻の非常勤講師として教えています。
〝正解〞のないデザインの世界で、学生が出してきたデザインを見て、私の想いを伝える…私の想いを踏まえて、でも鵜呑みにせず、学生には自分のデザイン道を歩んで欲しいと思っています。
デザインは、自分の哲学を求め続けるもの。自分がこう考える、という道をそれぞれが進んでいく。だから、同級生・同業者と話していても、哲学同士をぶつけるので、解決はないんです。でも、そのぶつけ合いが面白いんですよね。
私は「デザイン=コミュニケーション」だと考えています。
身近な雑貨も、デザインされることで「欲しい」と思えるものができる。食品も、パッケージひとつで「美味しそう!」とか「美味しくなさそう…」という感情が生まれます。
「デザイン」は、ある意味「言葉」より雄弁なコミュニケーションができると思いますし、そういうものを創りたいと、日々思っています。
小玉 文 (こだま あや)
1983年大阪生まれ。東京造形大学デザイン学科グラフィックデザイン専攻領域卒業。 株式会社粟辻デザインへの7年間の在籍を経て、2013年株式会社BULLETを設立。