色の専門家・草木裕子の色どりメッセージ (10)
そろそろ梅雨の時期に入る頃でしょうか?
雨の日が続き、気持ちも沈みがちになる頃ではありますが、紫陽花が街を彩るのはとても楽しみです。
紫陽花と言えば紫色が代表ですね。
紫陽花の花びらに見える部分は実は萼(がく)であることはご存知だと思いますが、その萼に含まれる色素が土壌の成分の酸性かアルカリ性によって変化していきます。
ひとつの株でも、最初は葉緑素が残る淡い黄緑で、だんだんと青みが入り、次に赤みが入っていくことで紫になります。
そして、最後は赤よりの色になります。
これは色相環の順番と同じです。
自然界の色の法則だと言えそうですね。紫陽花の色の変化を何日か眺めているとそれが良くわかります。
また、色の中で自然界にはあまり存在しない紫色は、その意味も「稀な」「不思議」などを表します。
紫を代表する宇宙からの連想では、行きつくところが無い精神性や目に見えないことを表す場合の表現にも使われます。なので、占い師さんやスピリチュアル系のイメージによく使われますね。
また、古代から紫色の染料は少なく、高度な染色技術が必要だったために、貴重な色として、高貴な身分の人しか着ることが許されなかった禁色です。
これは東洋でも西洋でも同じ。
日本では聖徳太子が定めた冠位十二階の制(603年)で、官職としての位を冠で定めたのですが、最高位には紫をあてがわれていました。
西洋では、巻貝から得られる紫がロイヤルパープルと呼ばれています。
この紫貝には「力が宿る」とされ、特別な人しか使うことができませんでした。
このような意味からも関連して、紫色のパーソナリティーは、プライドの高い人、自分の世界観を大切にするこだわり屋さん。
そして、人と同じことが好きじゃなかったり、「変わっているね」が褒め言葉に感じる人などです。
梅雨空の陽射しが少ない季節ですが、雨の瑞々しさの中で輝く不思議な色の変化を楽しめる紫陽花で、心を穏やかにお過ごしくださいね。