色の専門家・草木裕子の色どりメッセージ (8)
もう桜の花が咲く季節になりました。
様々な桜がありますが、私は京都六角堂の「御幸桜」が大好きです。
ひとつの樹から咲く桜が、白からピンクへ表情を変えていく姿がとてもかわいいのです。
さて、春の色と言えば何色を思い浮かべますか?
日本では、やはり桜色の淡いピンクを思い浮かべるでしょう。でも他の国々では、春のイメージと言えば、新芽の黄緑や光の色、イエローを連想します。
寒い冬からだんだんと太陽の光が強くなり、あたたかさを運んでくれるので、季節の移ろいから目覚めるように、花の蕾や葉っぱの色が変化してきます。
まだ成長していない時期を「あおい」と表現するのは、陰陽五行で東を春とし、色を「青」(実は緑色のことです。青龍も緑色です)で表現することに繋がっているようです。
日本語では、「青春」と言う言葉を使うのもこれが所以だと思われます。
このようなことから、春色は明るいイエローからグリーンがイメージカラーとして使われます。
日本では、入学式の季節に咲く桜の色も入ります。
4月が年度始まりなので、スタートの色もイエローやグリーンとともにピンク色をイメージする人が多いのです。
桜は淡いピンクだと思われますが、花びらを近くで見ると、ほぼ白なのです。
なぜピンクに見えるのでしょうか?
これは、絵画の世界の印象派の技法で「点描」がありますが、色を混色せず、小さな点や筆のタッチで、色を重ねて混色しているように見せる方法です。
それが桜の花を見る時に起こっているようです。
白い花びらの裏にある花被と言う部分が濃いピンクなので、それが白い花びらに透き通って見えます。
それがたくさん集まって点描のように混色し、淡いピンクに見えるのでしょう。
春は、黄緑やピンク以外にもあたたかさとやさしさを感じる明るい色で、心も体も軽やかになりましょう。
きっと一歩前に進めますよ。