第六話 艶でないかい
「艶(えん)でないかい、艶でないかい♪」
「艶」という字は、あまり使わないかもしれませんね。艶にはあまり縁がないかも?
艶は「えん」のほかに、「つや」と読みます。色艶(いろつや)がいいというやつやね。
「あで(やか)」とも読みます。(特に女性が)はなやかで美しいさまですね。「艶やかなのは誰?」「あてやがな」その調子!
「なま(めかしい)」とも読みます。こちらも(特に女性が)色っぽい美しさのことですね。生麦・生米・生卵、生剥き・おめかし・艶めかし。ちがうか!
どれも「美しい」という意味がありますが、日本人の美意識にはこの「艶」が関わっているように思います。
人についてだけでなく、物事についても、「艶」という要素を見て取るところに美しさの深みみたいなものを感じてきたのではないでしょうか。心の艶(つや)というやつやね。
艶は「豊」かな「色」と書きます。豊かな色が艶を生むということでしょう。いろいろな色が豊かさを生むということでもありますね。
私たちは物事に色付けをして生きています。良いとか悪いとか、正しいとか間違いとか、うれしいとか悲しいとか、楽しいとか辛いとか、いろいろな色を付けて見るでしょう?
自分の色付けと他人の色付けは違うということや、自分の色付けが変われば見え方も変わるということがわかると、生きるのが楽になります。色付けにこだわりすぎないということですね
でも、色自体に良い・悪いはありませんし、色付けも毎日を豊かなものにする上で欠かせません。自分の色付けを楽しんで、彩り豊かな人生にすることが「艶」なんですよね。
これまで見てきた「縁」も「宴」も「円」も「演」も、人生を彩る豊かな色になります。縁を楽しみ、宴を楽しみ、円を楽しみ、演を楽しみ、艶のある美しい毎日を楽しむと、えんでないかい?