写真絵本からどんなことを感じるでしょうか。
梅雨にめぐみの雨をたっぷり吸いこんだ森は、夏にはむせかえるような緑でいっぱいになります。今月はそんな緑の森の匂いまでしてきそうな写真絵本をご紹介します。
写真なのに絵本なの?と思われるかも知れませんが、絵本=picture bookですので、picture=写真の場合もあるわけですね。
絵で描くのであれば部分を強調したり、背景をぼかしたり、あえて描かなかったりということが自由にできます。一方写真はそこに存在するものすべてがある瞬間で切り取られた「記録」になります。それでも写真家が何を伝えたくて何を狙って撮影したのかという意図が表現され、メッセージを感じたりすることができますよね。さらに一枚だけの写真より何枚もの写真を組み合わせて言葉を添えた「写真絵本」という表現形式をとることで、より明確なメッセージや意図が伝わってくる気がします。みなさんはこの写真絵本からどんなことを感じるでしょうか。
8月の一冊 いっしょだよ
小寺卓矢 文・写真 <アリス館>
森で共に生きるいのちに出逢う本。
物語
広い広い森の中、生まれたばかりの木の芽。ひとりぼっち…なのかな?違うよ、いっしょだよ。
お花や葉っぱやきのこ、同じ種類が並んで一緒。狭い所でぎゅぎゅっと一緒のものもあれば、広い所でどーんと一緒のものもある。でも本当は、みんな誰もが違うものどうし。一人の誰かと一人の誰か。一人と一人がいるから一緒。大きいの小さいの、生きてるの死んでるの。きっと色々だから今ここで一緒なんだね。
ソムリエのひとこと
木の芽、花、葉っぱ、きのこ、落ち葉、虫、水、光、タネ、風。森の緑が目にも心にも優しい風を運んでくれます。瑞々しい森の写真を見ているだけでも気持ちが和みます。そして繰り返される「いっしょだよ」の言葉。生きているもの、死んだもの、目に見えるもの、見えないもの、近くのもの、遠くのもの。8月はこの質問を考えるのにぴったりの季節かもしれません。「あなたは だれと いっしょかな?」