第6話 「ひとは見かけに」

絵本を読めば、きっとこの顔が愛おしく見えてきます。

「好きな果物ランキング」という調査を見かける事があります。必ずベスト3に入っているのが桃。ピンク(桃色)で赤ちゃんのお尻みたいで、優しく触れないと傷ついてしまう、高価で気軽に食べられない果物(笑)、というのがぼくのイメージです。たわわに実った桃の木がいっぱいあって、桃食べ放題の夢のような場所が桃源郷かな。
そんなイメージの桃ですが、今月の絵本の主人公「こどももちゃん」は何だか機嫌が悪そうです。大きな桃の頭にパンツ一丁、上目遣いで口をへの字に曲げた表紙の絵は、ぼくの桃のイメージとは程遠い印象です。いったい何があったのでしょう。絵本を読めばきっとこの顔が愛しく見えてきます。

9月の一冊 「こどももちゃん」 
たちばなはるか 作・絵 <偕成社>

「こどももちゃん」 たちばなはるか 作・絵 偕成社

今日はなんだかごきげんななめ。どうしたのかな?

物語

子どもの桃の「こどももちゃん」が、わき目もふらず歩いてゆきます。「どこいくの?」と小鳥が聞くと「教えない」とそっけない返事。動物たちが遊ぼうと誘っても断ります。うさぎたちは「こどももちゃん、何だかご機嫌斜めね」とヒソヒソ話。どんぐりを「いっこずつ、あげる」とこぐまに言われてみんなは大喜び。でも、こどももちゃんはもじもじ立ったままです。母さんぐまが気がついて「あら、そうだったの。こっちおいで」。こどももちゃんが困っていた事を解決してくれました。やっとにっこりこどももちゃん、みんなと遊ぶことができました。

ソムリエのひとこと

こどももちゃんは不機嫌だったわけでなく、困っていたのでした。しかしその態度は「機嫌が悪い」という風に見えます。すると周囲のみんなはこの絵本のように「不機嫌な人」として対応します。つまり、こちらの事情や気持ちとは無関係に、相手からどう見えているかで関係性が作られてしまうということですね。周りから自分がどう見えているかを客観的に考える事も必要だと、この絵本を読んで思いました。さて、こどももちゃんが困っていた事とは?微笑ましいけど、本人には切実な問題でした。表紙の絵の中にもヒントがありますよ。

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