中野裕弓さん

中野裕弓さん

—ロミさんは「カウンセラー・人事コンサルタント」ですが、女性の生き方に関する著書も多く、いろいろな活動をされていますね。

私はターシャ(*)が大好きで、今ね、あぁいう80歳、90歳の知恵がそこで分断されていて下の世代に降りてこない。戦争があったせいかしら。昔のおばあちゃんの知恵袋みたいなのが踏襲されていないから、ティーンエイジャーの女の子たちなど何を指針に「女性の生き方」を見ていけばいいのか、曖昧なのよね。分からなくなっている。

男の人は、それでも、社会に入ればいろいろな葛藤や軋轢から学ぶけど、女性は家庭に入り、社会と積極的に関わりをもたない場合は、女性たちがお互いに学ぶ場がないんですよ。世代を超えて助け合うというリンクができていないから、いまどき子育てが大変で子ども殺してしまったりする悲劇が。そういうのは、女性同志のリンクで救えるはずなんですよ。それも特別でなく、普通の女性同志のリンクで。

女の人たちは、男の人ほど、組織をつくったり知識を体系化するシステムを持たないので、みんな1人でいじましく頑張っている人が多い。 それではもったいないので、どうにか女性の先輩方、ターシャや日本でいったら佐藤初音さんたちの知恵や存在そのものを、次の世代に繋げられないかなって思っているの。

ターシャを見ているとクリエイティブになれるわ。ターシャは決して世の中を変えようと声高に言っているわけではないけれど、結局はその生き方が他の人の刺激となり世の中を変えているのよね。そういうのおしゃれよね。

ターシャ・テューダー
アメリカの絵本画家・挿絵画家・園芸家(ガーデナー)・人形作家。彼女の描く絵は、「アメリカ人の心を表現する」絵と言われる。50歳代半ばよりバーモント州の小さな町のはずれで自給自足の一人暮らしを始め、1800年代の農村の生活に学び、彼女の住む広大な庭で季節の花々を育て続けるライフ・スタイルに日本でも近年、注目が集まっている。
2008年6月、92歳で他界。

—子供たちとお泊まり会を開いたりしているとか?

そう、それで自分なりに若い女の子たちに何か伝えようと思って。9歳から13歳くらいまでの友人の娘さんたちを我が家に招いてお泊まり会をしたりしています。

9歳から13歳は特別な歳。それまでは男の子も女の子も一緒に育つのですが、社会の状況の中でなぜか「外科医や科学者、宇宙飛行士は男の人の職業」なんて思いこみ、「わたしはいいんです」とセルフイメージを下げたり、小さくして制限していくのがこの年代なの。「大丈夫よ、あなたは何にでもなれるわ」って周りで言い続けていたら大丈夫なんだけど、 みんななんだか、だんだん小さくまとまっちゃう微妙な歳ですね。

アメリカで世銀に勤務していたころ、「娘を仕事場に連れてくる日」というのがあって、 その日ワシントンDC近郊に住む女の子たちは、学校行かないで、そのかわりお父さんかお母さんの職場に行く日、というのがあったの。

親の働くそばで、一日見学しているだけなのだけれど、現場で女の人がコンピュータを駆使したり、部下をまとめたり、会議をしているのを見て「あ、なりたいものになれるんだ」、という意識を一日だけでも、という日なの。

世銀時代、その日のコーティネートを3回くらい担当しましたが、その日一日の体験だけでも、女の子の意識が変に委縮せずにすみますね。それで、3年目くらいから息子たちも職場に呼ぼうってことになって・・その日はオフィス全体が子どもの国のようになったのを覚えています(笑

その体験があったので我が家で、女の子たちを呼んでお泊まり会をすると、おもしろい。 わたしは、その子達と一緒にいると、クリエイティブになれるのね。子どもを育てている人って日常生活の中で、「えっ?」っていう子どもの論理に接する機会があるけど、私にはそれがないから、来てもらって刺激をもらっているの。

そんな体験を通して、女性たちの生き方を次世代に踏襲していくリンクを作りたいと思ってきたの。

そういうもの作りませんか、なんてお話も飛び込んできて・・自分がひらめいたことを、自分サイズでやっていると、大きな話が入ってくる、という構図になっているの。いつも。

女性の社会的貢献と、家庭の生活のワーク・ファミリーバランスがきちんととれた女性たちが育ち、女性がどこにいてもいきいきしてくるとまわりが安定して社会が良くなると思うわ。

男性にいい社会を作りましょうって夢を語っても、 「そうは言っても中野さん、現実はね・・・」って必ず言われるから(笑

男性の社長さんたちを見ていると、どうも言っていることとやっていることが分離しているから大変よ。 “いい企業作りたい”とか”CSR”とか”社会企業家”とか言っているけど 「 ほんとうに?」って感じ(笑) 結局、個の幸せを追求していくと会社の幸せになって、 社会とか地域とか世界の平和につながる。というとってもシンプルな構造なのにね。

—輝く女性たちをたくさん見られていると思いますが、どんな方が多いですか?

アメリカで見てきた輝いている女性は、学校を終えて就職し、結婚して、出産、子育ての間は家庭に入って、再び社会に戻ったら、あっという間に昇進してトップマネジメントの一員に。トップマネジメントの女性10人くらいをインタビューして分かったのは、子どもを産むとき潔く退職して、そしてその後3~5年くらいはどっぷり家に入るんです。

その間に何をしているかというと、自分の専門分野の大学院の授業などをとったり、資格を増やしたり、通信教育などで最先端の学問を家で身につけているの。 その、女性ならではのキャリア・プランニングは学ぶことが多いわ。

子どもが預けられるようになって社会に復帰すると、「退職前の社会の実績・経験」、「子育ての間に得た最先端の学問・知識」、「家を切り盛りしたマネジメント能力」、この3つが手に入るから、5年のブランクなんのその!なのよ。

思い出せば、わたしが若いころは、女性は将来結婚か、仕事かという選択をしなくてはならなかった時代。わたしがOLになって、将来は男性社会の中で仕事する女性の生き方を選んだ時、手放したのは・・・今思うと「女性らしさ」だった。男性と互角で働こうと必死だったのね。

ところが今、「女性らしさ」を手放して鼻息荒く(笑)頑張っているシングルのキャリアウーマンたちは、なぜか中間管理職どまりなのね。

彼女たちが言うには、ガラスの天井があって上は「見えるけど上がれない」って。
なぜそうなったかというとね、新入社員で入った時、男女とも自分を認めてもらえるのはプロとしてのすぐれたスキル。決断力、企画力、指導力などというプロのスキルにはジェンダーがない。

その後タタタッと昇進するとして、トップマネジメントのメンバーとなって会社を引っ張っていく時になると男女の差が出てくるの。男性は今までの能力をもっと高めていけばいいのよ。 ところが女性は、ここで初めてトップへのドアが開かないことに気が付くわ。 女性がそのドアを開けるカギは何だと思います? 実は「女らしさ」なの
ちょっと不公平?(笑) そこで結婚して子育てを経験している女性たちは、母性を磨く環境にあり、その女性らしさ、母性が身を助け、鍵があけられるってわけ。これを若い時に知っていたらなぁ(笑

おしなべて男の人は"あそこに行こう"と思ったら全速力でまっすぐ走っていくのうまいんです。実行力、分析能力、論理性、競争する力、物事を分離させて極めていくのが得意。 女性の得意なところは包み込む優しさ、母性、つまり分裂しているものを統合させて育んでいくこと、ぎすぎすした人間関係にも優しさをもって包み込む肝っ玉母さんのような懐の深さ、競争ではなく協調、育み励ましてくれる力、感性、感情を表に出す力、実はそういうところが社会にまだ足りないんですよね。 女性はそれを提供できる。

これからは、男性、女性どちらもがそのよさを同じように外に出して協力していくことが求められるでしょうね。

—波動スピーカー、ご購入いただいていかがですか?

波動スピーカーが我が家にきて、生活が変わりましたよ。

いい波動があると家が浄化されるでしょ? 家を出て近所にちょっとお買いものに行く時など、音楽をかけっぱなしにしていきます。
空気清浄機ならぬ波動清浄機(笑

家で執筆するときなどはクリエィティブになれるモーツァルトとや環境音楽などをかけています。
植物の成長も違うし、なにより空気が違いますね。

わたしが波動スピーカーの音をはじめて体験したときは衝撃。

なぜか自分の身体の中の水分にいい影響をもたらすと直感しました。
シャワーを浴びているようで、わたし自身がそう思うならきっと家も環境もそう。

いつもこういう音で満たしていたら、家はいざというとき住む人を守ってくれるし、香りとこの音で、家はものすごく良くなるわね。
それに私は箱根の名産品、寄木細工が前から好きだったの。
なんといっても地元ですから。
寄木細工のアンプのモダンなデザインを見た時ひとめぼれ。
これは外せないインテリアだと思いました。

波動スピーカーの音は、心が蘇生しますね。
こういうものでお手軽に心が元気になれるなら、利用した方がいいですよね。贅沢品としてみるのではなく、QOL(生活の質)を上げるためのもの、つまり私の中では生活必需品のカテゴリーに入っています。
単に音響の質を上げるものではなくて、もちろん耳にもいいけど肌にもいいし水にもいいし。
見て楽しいしね。

我が家では、お客様のおもてなしに、おいしいお茶とゆっくりできる場所と、いい音が入りましたので 「おいしい音を聞きにきてください」って言っています。
お客様をお招きするときのご馳走の一つが音楽になりました。

私はガッツさんのお人柄を以前からよく知っているので、ガッツさんが扱っている商品だというだけで安心!プロアクティブでは私達の代わりに目利きをしてくれている、という信頼なんですね。

それに全て自社製品だけを扱うというのではないのでそれも安心。
社会に出ているすでにある製品を吟味して、コンセプトの良いものを紹介してくれる良さがありますね。

社会の流通を見てみると、昔は製造業(作って売る)が中心、次にサービス業(付加価値という見えないものを売る)になり、今は体験産業ですね。体験って独自のストーリーなんですよ。モノは作った人の想い、扱う人の体験が加わりそれが付加価値となっていくのです。
だから誰から紹介されたかというのも私は大事にしています。
体験産業とは、製造業に加えてサービス業、モノにまつわるストーリーにまでひろがります。
結局は作る人、伝える人、使う人の「縁」なんですね。

値段ではなく、パッケージではなく、宣伝方法ではなく、体験の縁というか、関わる人の信条、ストーリーがモノにのって運ばれてくるって人間的で いいなぁって思いますね。

—ロミさんの、夢というか実現したいことを、教えていただけますか?

将来、ギブキッズザワールドというのをやりたくて。

アメリカ・フロリダのディズニーワールドのすぐそばにギブキッズザワールドという慈善事業体があります。
文字通り「子どもたちに世界を提供しよう」というもの。
そこでは16歳までの癌や白血病などで余命を告知された子どもたちとその家族が一週間、近くのディズニーワールドなどを訪れ、家族としての最後の幸せな時間をもてる場所キッズビレッジがあるのです。
それも全く無償で、すべてチャリティで成り立っているのです。
それを作った素晴らしい人がいるのね。
ヘンリー・ランドワースさんって言うんですけど。

彼はユダヤ系ベルギー人、戦争のときに、ナチスに囚われの身になって、13歳から18歳までアウシュビッツのような収容所を転々として生き延びてきたの。
両親は殺され、双子の妹とも別々になった壮絶な人生です。
終戦後、20歳で所持金20ドル紙幣一枚だけでアメリカに渡り、言葉も通じず、知りあいもいない中で大変な苦労を重ね、ホテルの下働きから最後にはホテル王になるのよ。
すごいライフストーリーでしょ。

大変お金持ちになって、5件のホテルを持つまでになったけど、ある日、1週間の宿泊を予約していたファミリーがドタキャンしたのね。
秘書から聞いた話では「末期のがんのわが子に最後に地球での楽しい思い出にディズニーワールドに」という思いが間に合わなかった、とのこと。それを聞いた途端、ホテル王になっていた彼が、一瞬、収容所を転々としていたころの記憶が重なったんですって。

「明日は生きられないかもしれない」という自分の子ども時代のことを思い出して、こんなことをしている場合じゃないと、5件のホテルのうち4件を売って、ディズニーの近くに広大な土地を手に入れ、そこにそういう子どもたちとファミリーが滞在できる施設を作ったの。
いまでは一度に92ファミリーが滞在できる大きなビレッジになっています。

そのヘンリーさんとある企業の主催で、夏の北海道で3度の講演会をご一緒したことがあるんです。

わたしが彼のストーリーに感激していると、「ロミ、日本ではあなたがやりなさい」と言われたんですよ。
バックアップすると。 びっくりしましたが、時期がきたら、私はこれをやりたい、と思いました。
そこで、私はどうしたらいいかしら?と尋ねたら

You must be famous first!

まずはあなたのジャンルで、人の注目を集める人になりなさい!というアドバイスを頂きました。
みんなの注目を集める存在になれば、あなたの関心のあるものに、みんなが興味をもつだろうから効果が大きい、ということでした。
そう言われて目標が決まりました。
今は、ギブキッズまで行きつきませんが、知的発達障がいの子どもたちがスポーツを通して社会と繋がるチャンスをもつNPO法人、スペシャルオリンピックスの専務理事をさせていただいています。
これもとても社会的に意義のある活動です。

—ロミさんの、生き方で大切な考え方とかありましたら教えてください。

わたし、この間改めて気づいたのですが、今までの人生で艱難辛苦を体験していない。
家が経済的に破たんしていたとか、人間関係が複雑だったとか、身体的に大変だったとか、人に言えるようなドラマチックなストーリーはないんですよ。
ごく普通の家庭でごく普通に育ちました。
特に小さい頃 新聞配達したこともないし、他人の家で暮らしたこともない。

ある時、「ロミさんの本には勝ち組の人の成功体験だけが書いてありますよね」って言われてショック。
心が傷ついたんですけど確かに、幸せな人の体験談だね、って言われればそうなるんだものね。
「それはそうかもしれない」って感じで(笑

そりゃ、背中が曲がった側湾症なので若いころ身体的に大変だったとか・・言えばきりないけど、そういう苦労があったから今がある、なんて自分を納得させることもないでしょ。
「苦あれば楽あり」という言葉があるけれど、考え方を変えて「楽あれば楽あり」の人もありかな、と。

恵まれている人がいたら、「あの人はいいわね、羨ましいわ」と 自分と相手を切り離してみるのではなく「あの人ができたなら、な~んだわたしにもできるはず」って何でも我田引水して思えばいい。他人と自分を比べて一喜一憂するのは不幸だわ。

今ね、世の中は自分は自分という"個の意識"から自分は世界の一部であるという"ガイアの意識"に変わりつつあるんですよ。
ある種の達観っていうのかな。
一瞬、自分の人生を自分の目線で見て、カメラをググッと後ろに引くと全体を自分を取り巻く環境まで視界に入る、映画で見ているようになるのね。

目線を高くして常に自分の生き方を俯瞰してみれるようになれば "泣いてるわたしも、弱音はいてるわたしも、私。
大丈夫"って感じ。

俯瞰するのと、迷っている自分と大丈夫って言っている自分が両立できるようになって面白くなったわ。

こんなこと言って人生がわかっているようでいて、何かあるとクヨッと泣いてるのね。でもそれが面白い。
泣いている自分も自分なら、落ち込みもあと三日くらいかな・・・なんて同時に考えている自分もいるって感じ。(笑

嫉妬にかられたり、落ち込んでみたり、人間らしく悩みを抱えてキューキューするのも、あり。
人間やっててよかったってしみじみ思う瞬間だわ。 だってすべてわかりきってしまったら世の中、退屈かも。

過去をクヨクヨ思い返したり、未来を心配する人がいるけれど、今、自分の手の中にあるのはこの瞬間だけ。

今、立ちあがってお手洗いにいくのも、電話をかけるのも自由でしょう?
今という時間はここにいるあなたが完璧に主導権を握っているのね。
だったら今にだけフォーカスしましょ。この瞬間だけはいい感じ、それでOK。
その感覚さえあれば、後ろを振り返ると、過去の出来事が一つでも欠けていたら、今、わたしは
ここにいないってわけよね。
あれがあったから、今、ここにいる。
それで「過去はすべて予定通り」となるわけ。
そして手の中にある今、この瞬間。
だからこの瞬間の延長線上の未来は実はあなたが自由自在に作れるってわけ。

これで、いっぺんに過去未来現在を語れるのね。

この考え方で行くと自分の人生の「責任転嫁」も「被害者意識」にもなれない。
自分は被害者、幸せになれないのは他者のせい、すべて周りのせい、にできなくなるわ。

起こる出来事はすべて自分が成長するためにとっても必要不可欠なこと、って思ってしまうと楽。
これいいの?間違い?なんて良し悪しを裁かなくていいから。
ピンチに見える時は実はチャンスで、「なぜ私が?」「なぜ今なの?」って考えていくと、すべて予定通り!って言いきれてしまう。

いろいろあって、それで人生は素晴らしい!って言って終っていけたら素敵ね。

私は人生の旅の最後に、関わった人たちに「中野裕弓に出会って、自分の人生がますます面白く楽しくなった」と言ってもらえるのが一番嬉しい。
そう言ってもらいたいなって思います。 
まだちょっと早いかな(笑

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