こよみ屋の時間って何だろう?その4
自然とつながる日本の歴
「熱いストーブの上に1分間手をのせてみてください。
まるで1時間ぐらいに感じられるでしょう。
ところがかわいい女の子と一緒に1時間座っていても、1分間くらいにしか感じられない。それが相対性というものです」(アインシュタイン)
1873年(明治6年)、西暦に改暦されるまで、日本人は自然のリズムを反映した「旧暦」を千年以上に渡って使い続けてきました。
改暦前の江戸は、世界で最も人口が多かったにも関わらず、美しく自然と調和のとれたエコロジーな都市だったと言われています。
それから約140年の間に、日本はどんな発展をし、どのような豊かさを手に入れたのでしょう?
旧暦の一年のリズムは太陽の運行に基づき、365日の時間を春夏秋冬、二十四節気、七十二候で計ります。
そして月の始まりは、いつも新月(朔)からです。旧暦とは太陽と月と地球が織り成す、宇宙と自然のリズムを感じることのできる優れたカレンダーだったのです。
旧暦を使うことは、古風な感覚を楽しむことに留まらず、新しく自分と自然との繋がりを見つけ、人々が地球と調和していくための一つの方法なのだと思います。
私は「13の月の暦」と出会ったことで、自分の中の自然のリズムを甦らせることの大切さを知りました。
それなら旧暦を使うとさらにいいのでは…と思い、何度も使うことに挑戦したのですが、途中で挫折を繰り返していました。
原因は上記のような仕組みを理解していなかったからだったと思います。
ならば旧暦の美しい仕組みをそのままデザインしてしまえば、リズムが分かり親しみを持って使えるようになるのではないかという閃きから「丸一年カレンダー」を作りました。
時計と反対まわりに進む丸一年カレンダーの時間は、天の中心で輝く北極星から太陽系を見た視点です。
中央の丸が太陽で、そのまわりを地球が一周します。
カレンダーの日付を追うことで、一年間、地球と一緒に宇宙空間を旅しているようなスケールの大きな時空を味わうことができます。
そこに月の有機的な波のリズムが加わることで、なんとも美しく優雅な時間が流れます。
春夏秋冬それぞれ約90日に分かれた季節のカレンダーは、私たちの心と身体の時間をゆっくりにしてくれます。
例えば「新月は新しい月の始まり」ということを意識して月を見るだけでも、自然のリズムを感じられますよ。