「チーム高田」

ほっとメッセージ

パラリンピック ブラインドサッカー日本代表監督、高田敏志さん。

暑中お見舞い申し上げます。

暑い日が続きますが、新型コロナはもちろんのこと、熱中症や夏バテは大丈夫でしょうか?収束の見えないコロナ禍、今年のオリンピック・パラリンピック開催の決定がなかなか公表されず悶々としていましたが、ようやく東京五輪の熱戦の火蓋が切られています。
スポーツを通した平和や人権の尊重。スポーツによって肉体と意志と精神を高め、バランスよく融合させる生き方・在り方。そしてスポーツで友情、連帯を深め、フェアプレー精神に則り相互理解、共感、感動を共有する・・・。誰もが、オリンピックとは崇高かつ素晴らしいもので、選手やチームの艱難辛苦の軌跡をその晴れ舞台で爆発させる奇跡と感動の物語を皆で分かち合う唯一無二のイベントだと感じていると思います。
なのにコロナ禍という混乱から主催国なのに盛り上がりにくいという逆風の中、今回出場するアスリート達は昨年の延期で身も心も折れかけていた自分自身を鼓舞させながら、すべてが想定外、超ストレスと葛藤の中でオリンピック出場の切符を手にされました。尊いことだとつくづく思います。
だからぜひ、己を信じ、仲間を信じて、最高のピーク(心技体の究み)の中で、自己のパフォーマンスをすべて出し切ってほしいと思います。
その結果がきっとメダルへと繋がっていくのだと思います。

実は、今回のパラリンピックでぜひ応援していただきたい競技とチーム、そして監督がいます。それは、ブラインドサッカーという視覚障害を持つ人のサッカー競技であり、その日本代表監督の高田敏志(たかださとし)さんです。
私の嫁さんのセミナーの卒業生で10年来の友人であり、大手ITサービスのマネジメント、コンサルティングや、アスリートや文化人のマネジメント、ゴールキーパー養成スクールなどを手がける株式会社アレナトーレを経営されるとても優秀な経営者。その卓越したリーダーシップとマネジメント力、戦略立案能力、そして人柄には本当に頭が下がります。
サッカー現役時代はゴールキーパーで活躍し、母校青山学院大学でもその名は知られ、そのプレイセンスとスキル、独自の考えや練習法などで、Jリーグの選手や指導者からもずっと一目置かれてきた方でもありました。そんな高田さんに、7年前、縁遠かったブラインドサッカー協会から日本代表のゴールキーパーコーチの依頼がありました。2016年のリオデジャネイロのパラリンピックに出場できるよう、力になってほしいということでした。

チームを何とか強くして、国内のみならず世界でも知られる存在にしたい・・・。

私が初めてブラインドサッカーを観た時、それは本当に驚きの連続でした。
私達の得る情報の約80%が視覚に頼っているのに、それがすべて遮られながら、ボールの中に入った金属の粒の音を頼りに攻め、守ってくる相手の声や気配を一瞬で察知してパスをしたり、ボールを奪ったり、ゴールを目指して懸命に走り、シュートする・・・。
ケガや事故も含め、本当にきつい競技であることが観ていてよくわかります。まさに全身を目にして動き、ボールの音や相手や味方の声で全体の距離感、空気感をつかみながら、激しいぶつかり合いも厭わずにゴールを奪おうとする勇姿に、本当に心を打たれます。
私がそう思った以上に、サッカーの世界を熟知している高田さんには、ブラインドサッカーが違った意味で眩しく見えたのだと思います。
こんな素晴らしい競技なのに、日本ではあまり知られていないのは本当に残念だし、何とか強くして、国内のみならず世界でも知られる存在にしたい・・・このピュアな使命感に目覚めた高田さんは、正式にコーチを引き受けられ、初のパラ五輪出場を目指してリオ五輪のアジア予選で奮闘されましたが、あと一歩で惜しくも予選敗退。ですが、その目覚ましいチーム力と世界的評価向上に貢献したことが認められ、2020東京パラリンピック代表監督に推挙されました。
やるからには、人事権など現場を立て直すための決裁権を持つ強化部長の権限もないと本当に強いチームはできないと提案し、自ら腹を括って二足の草鞋を履きながら、抜本的なチーム力強化を図っていかれました。
全国の視覚障がい者の学校を草の根的に回って可能性のありそうな若者を見出し、手間を厭わない地道な育成を図ったり、大手企業に掛け合って練習場所や施設など環境づくりの支援をとりつけたり、海外遠征や強化合宿などの費用を捻出するために企業回りをして想いと夢を語り、上場会社から中小零細企業に至るまで多数のスポンサー企業に応援団になってもらうなど、それは企業の不具合をITの力で改善する会社の代表という感性、行動力、プレゼン能力が高い高田さんだったから、不可能を可能にできたのだと思います。
そのすべてが2020東京パラリンピックでメダルを獲る、あわよくば金メダルを獲るという夢の実現のためでした。

そしてそれらの積み重ねと選手の努力と成長、優秀なコーチ陣の集結、無私の心で懸命にサポートしてくれるスタッフの力など、チーム高田のメンバーは、ここ数年で目覚ましい一体感、成長を遂げ、世界のトップとも互角で戦えるほどになっていきました。

このチームで金メダルを獲って、 世界、日本を驚かせて歴史を創ろう。

そんな中での昨年の延期と、今年の開催の行方もずっと不鮮明だった状況は、チーム高田のメンバーにとっても本当に辛く厳しい状況だったと思いますが、それを振り払うかのように、五輪直前に高田監督が私に言ってくれました。
「僕らは何年も前からこのチームで金メダルを獲って、世界、日本を驚かせて歴史を創ろうとやってきました。チーム高田は、支えてくれるすべての方々と共に闘うから、そのメダルは皆と共有するものなんです。70歳を過ぎて全盲になり、様々の障がい者スポーツを支援し、日本のブラインドサッカーの生みの親でもあられる釜本美佐子さん(あの伝説の釜本邦茂さんの姉)にも、メダルをかけさせていただきたいんです。だからガッツさん、僕らは金を獲りますよ!」。
有言実行の男、高田敏志監督率いるチーム高田は、8月29日が初陣、9月4日が決勝。どうか皆さんもチーム高田の一員として、一緒に「ガンバレ日本!チーム高田ファイト!」と応援していただければ、その一念がきっと夢を実現するエネルギーになると思います。

合掌

Guts

※高田監督の詳細はこちら
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/37390

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