「平尾イズム」

「平尾イズム」

ほっとメッセージ

すべてにおいて時代の一歩も二歩も先を行くチャレンジャブルな姿

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?

時が経つのは早いもので、今年もあっという間に師走。今年一年はどんな年でしたでしょうか?
私達は年号が令和に変わった記念すべき年に創業30周年目を迎えることができ、本当に思い出深い年になりました。30年目を機に、もう一度新たに起業し直す・・・というイメージになれたかもしれません。
その道のりには不安もあれば楽しみもある・・・。きっとそういうことが、人も会社も成長する原点になるのだと思います。
私見ですが、令和は「零和」とも考えられ、ゼロ(原点)に戻って、お互いが和(調和・融和・相和など)して、すべてが丸くなっていい波紋(輪)のエネルギーが社会、世界に広がっていく。そんな時代になるのではと感じ始めています。その象徴的な社会現象が、ラグビー日本代表のワールドカップ史に残る大躍進でした。彼らが体現してくれたことは、老若男女問わず、日頃スポーツに関心が薄かった人々までにもたくさんの勇気、感動、清々しさ、笑顔、幸せ、希望などを与えてくれました。
そのスローガンは、「ONE TEAM(ワンチーム)」。
代表31人中15人が外国人という混成チームを1つにまとめ切り、実力でベスト8に入るという具体的な目標を掲げて、世界をアッと言わせる。それは、惜しくも3年前に53歳の若さでこの世を去った「ミスターラグビー」こと伝説のラガーマン、平尾誠二さんの悲願でもありました。驚くことに、平尾さんは自身が代表監督だった22年前、すでに今のマイケル・リーチ主将のような外国人キャプテンを任命し、世界中から外国人選手を見出してきました。今回の日本代表のヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフさんもその一人でした。

同志社大で学生日本一3連覇、神戸製鋼でも社会人7連覇の素晴らしい戦歴の平尾さんの目指すラグビーは、ボールを回して仲間を信じて繋ぐ「究極のボール遊び」でトライする自由かつ創造的で、観ていて楽しいラグビー。実際に伏見工業高校(京都)時代から、泣き虫先生として名高い山口良治監督の下でそれを具現化し、悪名高き不良高校を日本一にしました。その奇跡の実話が、あの伝説のテレビドラマ「スクールウォーズ」になりました。
個が強くなり輝いてこそ、集団の力と輝きが増す・・・。スポーツでも職場でもようやくそういうことが大切だとして、目指そうという時代になってきましたが、平尾さんは、40年近く前からそこを目指しチャレンジしていた。ルックスとプレイスタイルも本当にカッコいい人でしたが、リーダーシップ、チームづくり、ビジョンなどすべてにおいて、時代の一歩も二歩も先を行くチャレンジャブルな姿が、今もって「ミスターラグビー」と言われる所以だと思います。

既成概念を打ち破って世界から優秀な外国人を集め、究極の混成ユニットを組んだ平尾ジャパン。

既成概念を打ち破って世界から優秀な外国人を集め、 究極の混成ユニットを組んだ平尾ジャパン。

そんな平尾さんは第1~3回までのワールドカップに選手として出場し、第3回大会では、あのオールブラックス(ニュージーランド)に17対145という国辱ともいえる歴史的大敗を記しました。こういった失望も経て、世界と互角に戦うために、純粋な日本人チームという既成概念を打ち破って世界から優秀な外国人を集め、究極の混成ユニットを組むこととなります。それが前述した1999年からの平尾ジャパンの初代外国人主将のアンドリュー・マコーミック、そしてオールブラックスで活躍していた名プレイヤー、ジェイミー・ジョセフへと繋がっていきました。が、その間、様々なことが日本ラグビー界でも起こり、ラグビー冬の時代を迎えることになりました。ワールドカップにギリギリ出場できても、取材に駆けつけるメディアは2~3人という淋しい時代があったのもこの時期です。
そんな低迷、迷走時代を経て、一人の男が協会の日本代表のゼネラルマネジャーになりました。その人は岩渕健輔さん。青山学院を卒業後、平尾さんが総監督をしていた神戸製鋼に入社し、2年間平尾さんの下でジャパンの選手としても活躍しました。イギリスにも留学して本番のラグビーの理論、戦術、スピリットを学ぶと同時に、様々なラグビー人脈を築いていきました。その種が形を変えて発芽したのが、2015年のあのスポーツ史に残る奇跡の番狂わせの南アフリカ戦の大勝利でした。
その時のヘッドコーチが鬼軍曹として一躍有名になったエディ・ジョーンズ。そのエディを特有の海外人脈から引っ張ってきたのが、当時のGMだった岩渕健輔さんでした。岩渕さんは、平尾さんの悲願でもあるワールドカップ・ベスト8という夢を、劇薬を上手く使って達成するという選択をして、ものの見事に南アフリカを撃破するという偉業を成し遂げました。
エディHCは、選手に平尾さんとは真逆のラグビーを強いましたが、日本が世界の壁を突き破るには必要だったのだと思います。 そんな劇薬をも自分達の力に変えて、世界を撃破した自信と誇りが、今回のワールドカップのあのアイルランド撃破を含む4戦全勝のベスト8へと繋がっていきました。

惜しまれて世を去った平尾誠二のスピリットは、時空を超えたONE TEAMに。

岩渕さんがエディを通してフィジカルと自信の型を作り、今回のジェイミー・ジョセフHCによって、自立、自主、創造的で、面白いラグビーに仕上げられていった・・・。
今回の日本の躍進は海外では「赤と白のジャージを着たオールブラックス」とも呼ばれていますが、きっと一番喜ばれていたのは、天国、いやきっとスタンドから見守っていた平尾さんだったのだと思います。なぜなら、今回のワールドカップのヘッドコーチを、旧友のジェイミーに三願の礼で頼んだのが平尾さんだったから・・・。
歴史に人あり。誰からも愛され憧れられて、惜しまれて世を去った平尾誠二のスピリットは、時空を超えたONE TEAMとして桜の花のごとく花開き、日本、いや世界中の人々に、ひとつのことに熱狂する楽しさや感動、夢や元気を与えてくれました。
国や文化は異なっても、切磋琢磨して戦った後は肩を組み合って、お互いに褒め称えあう・・・。ノーサイドの精神はまさに令和の時代にふさわしいですね。
「皆で磨き合って、楽しんで勝とう!」の平尾イズムが原点だとしたら、違うフィールドで私達も随所の主(キャプテン)となって輝き、人生のビクトリーロードを歩んでいきたいものです。最後は笑える日が来ると信じて・・・。
最後に、今年一年、本当にありがとうございました。
良いお年をお迎えください。

Guts

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