「殻破り」

「殻破り」

ほっとメッセージ

卵が孵化して、やがて蝶に…。起業はそのプロセスによく似ています。

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?

梅雨のち青い空、青い海原が広がる7月。夏本番ですね。そんな7月の終わりに、私達の会社は起業して30周年を迎えることになりました。今までもそして今も、有形無形に私達を陰に日なたに支え、応援し、温かく見守ってきてくださったたくさんの方々のお蔭で、ここまでの歩み、年輪を刻むことができました。
本当に有難く、有り得ないことだとつくづく思います。
誌面をお借りして、心から御礼申し上げます。

そういえば少し前に、26歳の娘に「20代後半から30代前半に起業することで大切なのは何?」と聞かれたことがあります。私は「それくらいの年代は、自分がいいなと思ったこと、すごく興味を持ったことを大事にして、とにかく夢中になって動くことやな」と答えました。「やっぱりそうなんだー」と娘。「不思議なもので、その熱量が磁力や磁場になって、面白い人、協力してくれる人に出会える。その時どきの自分に必要な情報やモノを運んでくれたり、キーマンになる人を紹介してくれたりするから、とにかく純粋にブレずに、動き続けることかな」。そんな抽象的で独り言のようなアドバイスに、娘は「お父さんらしいけど、やっぱりそういうことなんだね」と、彼女も自分にOKを出すようにつぶやいていました。

振り返れば、起業とは、卵が孵化してイモ虫からサナギになり、蝶になっていくプロセスによく似ていると思います。起業する以前の私は、大学を出て出身地の大阪で2度転職し、3度目の転職で東京に出て株式会社リクルートを選びました。今の娘と同じ26歳でした。
3度目の罪悪感もあり、一生勤め続けるつもりでいましたが、現実は甘くなく、最初はリクルートの文化と東京の風土になじめず、自分の殻に閉じ籠っていました。ですが、そんな私を見守っていてくれた部長の稲葉さんが、ある時声をかけてくれました。
「山ちゃん、今度リクルートでアメフト部を正式に立ち上げるから力を貸してくれないかな」。その一言から、私は救われていきました。気がつけば、夢中でグラウンドと仕事場、得意先を動きまわる自分がいました。
ところが30歳に近づくと、アメフトの練習でケガが増え、走るスピードも落ちてきます。何か良いトレーニング法や回復術はないかと探していました。仕事やアメフトでリーダーシップの重要性も感じていたので、当時経営コンサルの神様と呼ばれていた船井幸雄さん(元船井総研会長)の本を読んでいたら、「体から出る氣功の氣で病気も治せるし、元気になる。これからは氣の時代が来る」と書いてあり、直感的に「これや!」という気持ちになりました。
すぐさま本に書いてあった「西野流呼吸法」を教える渋谷の道場に通い出し、氣の力で大きい人が小さい人に飛ばされるというシーンを目のあたりにしました。

サラリーマンという分厚い卵の殻にひびが入り、割れた瞬間、イモ虫のごとく起業の道を歩むことになりました。

「人間の体から出る氣ってホンマに凄いんや」という驚きを持ち始めていた私に、今度は上司の加藤さんが「身に着けるだけで氣を整わせ、出やすくなるモノを取引先の社長から分けてもらったんだけど使ってみる?」と、思ってもみない話をしてくれました。
「えっ、それ何ですか?すごく興味あるんですけど・・・」。
そういう私に彼が見せてくれたのは、小さな透明容器に入った直径7ミリほどの半円球の特殊加工の水晶のビーズでした。全部で30粒、3万6千円の代物。今考えればとても怪しげな商品でしたが、当時の私には不思議と宝物のように見えました。
「これを3粒ずつ気になる所、辛い所にテープで貼ると、氣の流れがよくなって、血行も促進されて、ケガや痛みもよくなっていくらしいよ。緊張がほぐれ、柔軟性も上がるみたいだから、運動能力も上がるみたい。山ちゃんが喜ぶかなと思って、分けてもらってきたんだよ」。
私のサラリーマンという分厚い卵の殻にひびが入り始めたのはこの時でした。
「ちなみに、メーカーはこれを広めてくれる東京の販社を作ろうとしているみたいだけど、使ってみて良かったら、一度その社長と会ってみたらいいんじゃないかな」。

そう言って渡されたその水晶ビーズは、使ってみると、それはもう驚きの連続でした。
打撲で青アザになったところに貼ると、貼ったところだけ元通りに。ネンザで痛めた足首に貼るとラクに歩ける。アキレス腱に貼ると、足首のケリが強まってスイスイ走れる・・・。
「ホンマに凄い商品やなぁ~。これは。一度これを作っている社長に直接話をお聞きして、もっといろいろと知りたい!」そう思っていたら、京都にいるその社長に直接会える機会が実現しました。終始にこやかに分かりやすく面白く、商品や会社のこと、将来のビジョンを熱く語ってくれたその社長こそ、現在のファイテン株式会社の平田好宏社長です。
「私は原因不明の難病を患って、それがきっかけで治療家となりました。そして、その人本来の力を生かして元気にしてあげられるものを作れないかと思い、作ったのがこの水晶のビーズです。皆に元気でいきいきと人生を過ごして欲しい。そんな世界を創っていきたいんだけど、山口さん、一緒にやっていきませんか」。
その瞬間に私の分厚い卵の殻は完全に割れ、ファイテンで起業するという道をイモ虫のごとく歩むことになりました。

船井幸雄先生もその水晶ビーズを愛用されていたことも一歩踏み出す大きな後押しになりました。まさか船井先生まで繋がっていくとは・・・。後々、憧れの船井先生にも公私共々お世話になり、その恩恵は、とても大きな支えになりました。

次はどんな蝶になって羽ばたけるのか?それを面白がれるかどうかが人生の秘訣。

こうしてファイテンで起業し、大きな感動の山も、深く辛く厳しい谷も経験しながら、再び奇跡的な人の縁やご恩で『月のしずく』『TAKEFU』『玄米元氣』『ドッグスタンス』などの様々な商品との起業物語を紡いできました。
まさに生かされて、行かされての30年だったと思いますが、ただただ感謝しかありません。
人も会社も、卵が孵化して、イモ虫、サナギ、蝶になったかと思えば、また卵になる・・・その殻破りの成長プロセスの連続が生きていることの証だとしたら、次はどんな蝶になって羽ばたいていけるのか?それを面白がれるかどうかが、人生の“氣や熱量”を充実させ、若さを維持する秘訣なんだと思います。

「上手くいく人は素直・プラス発想・長所伸展」。起業時に船井先生からいただいたご助言ですが、今も肝に銘じている言葉です。

合掌

Guts

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