おもてなし

おもてなし

日本人も忘れかけている何かがあるから…。まさに最高の模範。

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?

少し前の話になりますが、改めて日本っていいなぁと思うことがありました。
桜満開の京都。それだけでも行ってみたくなりますが、夜桜の美しい銀閣寺近くの知る人ぞ知る日本料理のお店に、娘と嫁さんと3人で行ってきました。

そのお店の名は摘草(つみくさ)料理のお店「草喰(そうじき)なかひがし」。
京都で最も予約がとれないお店といわれていますが、一年前に京都の出版社に就職した娘が、育ててくれたお礼にと、私達夫婦になんとご馳走してくれることになっていました。

彼女は半年も前から予約をしてくれ、今の自分にできる最高のおもてなしをしてくれました。
本当に嬉しいお招きでした。

「草喰なかひがし」のご主人、中東久雄さんは、70歳前後で一見不愛想ですが、実は茶目っ気たっぷりな究極の料理人。
毎朝自ら大原の山に入り、山草、山菜、野菜などを採りに行かれて、この草は、この野菜は、こんなしつらえの、こんな煮方、あえ方、焼き方などにしようと創造力をフルに発揮されて、毎日のメニューにされています。

そこには、植物の生命や輝き、風味、旨み、彩り、香り、歯ごたえなど、旬のエネルギーや個性、特徴などを究極に引き出すにはどんな調理法が一番か?お客様に喜んでもらえるか?感動してもらえるか?思い出や生きるエネルギーになるのか?そういった想いが込められていますが、ご主人はそれをほとんど口にすることなく、冗談ばかり言って場を和ませながら、精魂込めた料理を作ってくださっています。説明せずとも出されてくる料理に全てが詰まっている・・・。

「お父さん、どう?」という娘の一言に「いや、もう感動したわ・・・。ようこんな店見つけてきたし、招いてくれたね。ホンマにありがとう」そう言って、通称「A君」と呼ばれる謎の日本酒で、3人で乾杯しました。
(このお店では、選び抜かれた日本酒は3種で、料理の進行と共に、A君、B君、C君というお酒が出てきます。こんな遊び心があちこちにちりばめられており、その空気感、楽しさ、和やかさが、料理やお酒の味わいをさらに引き立ててくれています。それはまるで寄席の様でもありました)

娘なりに考え、大きな出費であったにも関わらず親を招いてくれた心意気にご主人も感動してくださったのか、お祝いの言葉や気遣いもしてくれ、店を出る時はタクシーに乗るところまでお見送りをしてくださいました。これには本当に感無量でした。

今度は「おばあちゃんも一緒に来たいね」ということになり、次の予約をお願いしました。
きっとこうやって、そのおもてなしに感銘を受けた多くのお客さんがリピーターとして来店されるから、最も予約のとれない人気店となるのでしょうね。

私達の隣の席では、パリやニューヨークからやって来られた外人さんが、上手にお箸を使いこなして、ご主人との掛け合いを楽しみながら、素晴らしい料理を堪能されていました。

京都、日本の垣根を越え、世界中から日本の美しい文化と職人技を味わいにやって来られる・・・。
小さなお店ですが、日本文化の発信、交流という凄く大きな役割を果たしておられるその光景が本当に清々しく、美しく、頼もしく、同じ日本人としてとても嬉しく思えました。

日本人も忘れかけている何かがあるから、その感動を再体験したくて、紹介や口コミでたくさんの方々が何度となく訪れる・・・。
まさに日本型のビジネスの最高の模範だと思います。

皆さんがお掃除をしないと新幹線は動けないのです。
だから皆さんは、世界最高の技術を支える技術者なんだ。

実は今、世界一の大学でもあるハーバード大学で一番人気のある授業が、日本の国・人・企業の在り方・価値観・素晴らしさなどについてです。

それはイコール世界の最先端が日本に注目していることでもあります。

私達が何気なく乗っている新幹線の車内を、たった7分間で完璧な清潔さ・心地良さに仕上げ、次の乗客を整列してお出迎えする清掃員の方々の「新幹線お掃除劇場・テッセイの奇跡」は、ユーチューブで500万回以上再生され、世界各国から絶賛を集めました。

最初は3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれて敬遠される職場で、自分達は所詮掃除のおばちゃん、おじちゃんだとやる気も意識も低かったJR東日本テクノハート「テッセイ」の清掃スタッフの方々。

そこに役員として赴任された矢部輝夫氏が入り込み、現場の不平、不満、ストレスを”価値ある助言”として聞き入れ、経営と職場の距離をどんどん縮め、次々に改善、改革して働きやすい職場にしていきました。

さらに、その姿に感動したスタッフの方々が、今度は自ら仕事や作業の改善案を出していき、どんどんと仕事の効率や仕上がりが良くなっていきました。

そして極めつけは、彼らの仕事、セルフイメージの再定義し、繰り返し投げかけた矢部さんの言葉…「失礼だが皆さんは、社会の川上から流れついて、今、テッセイという川下にいる。でも川下と卑下しないで欲しい。皆さんがお掃除をしないと新幹線は動けないのです。だから皆さんは、お掃除のおばちゃん、おじちゃんじゃない。世界最高の技術を誇るJR東日本の新幹線のメンテナンスを、掃除という形で支える技術者なんだ」。

この言葉によって奇跡は生まれていったのです。

世界が注目する日本の文化。”日本文化発信劇場”の一人ひとりが主役。

彼らは仕事をする中で、乗客の笑顔に触れたり、「ご苦労さま」と言われたり、快適そうに語らいながら旅行している家族の光景などを見るにつけ、矢部さんの言葉通り

「私達は素晴らしい居心地、空間、安心できる座席や清潔なトイレなどを、一期一会の一回公演で提供しているのだ。目立たないけれど裏方として、世の中を、日本を支える素晴らしい仕事をしているんだ」という誇りと自覚が生まれ、やりがい、生きがいを得て、その職人芸を磨くことで、たった7分間で乗客に笑顔と安心、最高の快適さを届け続ける、という奇跡を起こしたのだと思います。

己を越えて、人に幸せ、喜びを与え、不安や心配に寄り添い、いい状態へ改善していこうとコツコツと努力、精進していく・・・。

ついつい忘れがちな私達日本、日本人の強み、伝統、資質を見つめ直し、一人ひとりが”テッセイの奇跡”を起こしたら、きっと日本がもっと良くなるに違いありませんね。

世界が注目する日本の文化。
東京五輪に向けて外国の方々に、”おもてなし”の心で、最高の感動をお届けしたいですね。

“日本文化発信劇場”の一人ひとりが主役。今日も一日願晴(がんば)りましょう。」

Guts

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