突然の激痛

突然の激痛

ほっとメッセージ

幸運でした。
つくづく人の心の温かさとありがたさが身にしみました。

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?

寒い日が続きますが、体調は大丈夫ですか?
一年で最も寒いこの時期。昨日まで元気だった人が、クモ膜下や脳梗塞、心筋梗塞で、突然生命を失う・・・。無常の風は、いつ何時に吹くか分からない・・・。

ついつい私達は、自分だけで生きているつもりになって、実は、この大自然の一部となって生かされていることを忘れがちですね。

実は、少し前にいろいろなことに気づかされる貴重な体験をしました。少しお恥ずかしい出来事ですが、お許し下さい。

ある日、外出先のホテルのラウンジで一人で昼食をとっていると、強烈な腹痛と共に、右腰の上部の奥の方に五寸釘でも刺されたような痛みが走りました。

食事どころではなく、顔に油汗が出て、ひどい下痢かもしれないと思い、トイレに駆け込みましたが、そういう訳でもありません。

ただ前夜から「何か変だな?」という予兆はありました。

夜トイレに行っても残尿感がずっとあり、恐らく眠る前2~3時間の内に4~5回はトイレに行ったかと思います。

朝起きてからもそういった状況は続いていたものの、「寒さのせいかな?」とか「父親譲りで元々腎臓が弱いから、トイレが近くなったのかな?」くらいにしか考えていませんでした。

幸運だったのは、その日の午後にホテルのラウンジで待ち合わせをしていた友人の一人が、内科のドクターであったことです。

その友人達が来るまでは人のいない上階のホールのソファで激痛をこらえ、横になっていましたが、どちらに向いても、どういう態勢になっても、今まで経験したことのない痛みで顔色は青ざめ、しかも体は熱っぽく、とてもダルくて辛い・・・。

ようやく約束の時間になり、何とか力をふり絞って待ち合わせの席に着くやいなや、皆が「どうしたの?」と心配して、その場の空気が一瞬に張りつきました。

事情を話したところ、友人のドクターがお腹や背中を触りながらいろいろと問診してくださり、「山口さん、これは“尿路結石”だと思いますよ。それは痛いですよ・・・。とにかく私の知人の診療所に連絡しますから、すぐに診てもらってください。それまでは痛いでしょうから、私が持っている痛み止めの薬を飲んでみてください。でも多分、気休めにしかならないかもしれません。それくらい、尿路結石の痛みは辛いですから・・・。」

そう言って、彼はその場で診療所の先生に電話してくださり、私をタクシーに乗せるところまで介添えしてくださいました。

身体は辛いけど、つくづく人の心の温かさとありがたさ、そして自分自身が幸運であることをしみじみと感じました。

そう言えば以前、何人かの人から「尿路結石は、なった人しか分からない痛さよ」と聞いていましたが、自分がなってみて初めてその例えられない痛みがよく分かりました。 出産が“青竹を握りつぶす様な痛み”と耳にしたことがあります。

これがそれに近い痛みだとしたら、母親や嫁さんがこんな痛みを乗り越えて私や娘を世に出してくれたことにただただ感謝しかないなぁ~。

そんなことをタクシーに揺られながら考えていました。

現代医療の検査技術のレベルの高さや安心感を
身を持って体験させられた絶好の機会ともなりました。

ようやく治療所に着いたところ、その時間はお昼休みにも関わらず、先生と看護師さん達が嫌な顔一つせず、親切に応対してくださいました。

「山口さん、すぐに坐薬と点滴を打ちますよ。そうするとかなり楽になりますから。それから今からレントゲン、エコー、超音波の3つで調べてみますね」。

そう言って先生は、てきぱきと看護師さん達に指示をして、次々と検査が進んで行きました。

私がここでもラッキーだったことは、小さな診療所でありながら、ある程度の検査の器材が全て揃っていたことでした。

代医療の検査技術のレベルの高さや安心感を身を持って体験させられた絶好の機会でもあり、代替医療も現代医療もその良さをほどよい良いバランスで享受させていただくことがきっと一番大切なことなんだとつくづく感じました。

温かいものが身体全体に広がって、
痛みはすっかり治まっていきました。

数10分後、検査画像を見ながら先生が、「山口さん、膀胱の入り口に小さな結石がありますね。あと少しで尿に混じって出ていくと思いますから、今晩は水分をとにかくたくさん摂りながら休んでください。そして紹介状を書きますから、明日もう一度大学病院で診てもらってくださいね。今のところ、尿路結石以外は見当たりませんが、念のためにです」

そう言って先生は、微笑を浮かべながら私の背中をさすり、「大丈夫です」と安心を与えてくださいました。

看護師さん達も、優しく笑顔で「もう少しの辛抱ですよ」そう言って励ましてくださいました。

本当に身にしみて人の心のありがたさを思い知りました。家に帰ってからも、関わってくださった方々の温かい情と、プロフェッショナルで心ある仕事ぶりが、私の心の中に感動の灯をともし、温かいものが身体全体に広がって、痛みはすっかり治まっていきました。

翌朝目が覚めても痛みはなく、もしかしたら昨晩中に結石が尿で流れ出たのかも?と思いつつ、大学病院へ行きました。

検査の結果、結石はすでに尿で流され、なくなっていました。
腎臓などにも異常はなく、もう大丈夫とのこと。

そして先生からいただいた「でも、お父様が腎臓が弱く、胆石も手術されていたのなら、今後も注意してくださいね」とのご助言を肝に銘じて、病院を後にしました。突然の激痛から24時間も待たずして、いろいろな感情、感覚、風景、繫りなど、それらがまるでドラマでも観ているような感覚で自己体験させられた今回の尿路結石物語でした。

人に健幸の大切さをお伝えしている身の上、私なりにできる精一杯努力はしてきたつもりですが、そこにはまだまだ過信や甘え、努力や認識の不足などがあったのだと思います。

経験して初めてわかる人の痛みや将来への不安。そしてそれらを拭い、支えてくれる人の情や繋がりなど、本当に様々なことを身心を通じて教えられました。

あまり格好のいい話ではありませんが、これも事実。

大いなる自然、因果の中からは出られないし、それを認め、受け入れ忍びながら、より良く生きる努力をしていくことが、生かされている私達にとって一番大切なことなんだと思います。

私淑しする故高倉健さんの辞世の句、「往く道は、精進にして、忍びて終わり、悔いはなし」。

こんな風に格好良くはなかなか生きていけないものですが、このかけがいのないご縁、出来事に生かされながら生きていることにただただ、感謝ですね。

合掌

Guts

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