フォトグラファー橋本和典のFOCUS eye
file.11 美しいもの
出張撮影を終え、夜行バス乗り場に向かうべく大阪梅田を歩く。
グランフロントと呼ばれる大阪駅北側の再開発エリアは
やや雑然とした南側エリアとは趣が異なり、
とてもスタイリッシュだ。
バスの発車は23時20分、時間はだいぶある。
夜の街並みの写真でも撮ろうかとあたりを見渡すと、
梅田もご多分にもれずクリスマスムード。
どうもその浮かれたムードに馴染めなくて
クリスマスを遠ざけてきた人生。
そんなわけで、梅田のきらびやかなイルミネーションも
やや冷めた目で見ていたのだけど・・・。
交差点に近づくとビルの谷間に月が現れた。
こうなると景色が急に違うものに見える。
イルミネーションの花道を歩くカップルも、
会社帰りらしいオジサン達も、
自転車で寒そうに急ぐおばちゃんも、
みんなみんな月に抱かれる家族のような気持ちに
なってしまうから不思議だ。
画面のなかではこんなに小さいけど、
ザ・存在感の月景色を撮れて、
僕の心はホクホクとなった。