フォトグラファー橋本和典のFOCUS eye
file.8 美しいもの
6月に北海道紋別あたりを北上の途中、
オホーツク海をどうしても写真に収めたくなり、
小雨の中、クルマを停めてもらった。
最近、沖縄や和歌山を訪れることが多く、
荒れる海も多く見ているが、
このオホーツクの海は、一味違って僕の目に映った。
あとで写真をモニタでチェックして気づいたのだが、
砂浜がかなり黒っぽい。
それが低気圧の黒っぽい雲と相まって、
人を寄せ付けないような
雄々しい雰囲気を醸し出している。
夏でも海水浴をする感じじゃない。
このシーンにシャッターを切ったあと、
僕は砕ける波にもっと迫りたくて、
どんどん波打ち際ににじり寄る。
乗せていただいているクルマのシートを
濡らしては申し訳ないので、
ジーパンを脱いで、下半身パンツ姿で
カメラをやられない限界まで歩を進める。
結局、不意の大波を
Tシャツの胸までザブンとかぶって
びしょ濡れになった。