上を向いて歩こう

上を向いて歩こう

ほっとメッセージ

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?

思わず口ずさんでしまう、あの歌。日本の誇り。

少し前になりますが、夜NHKを見ていたら、思わずその内容に引き込まれてしまい、無意識に一緒にある歌を口ずさんでいました。

「上を向~いて、歩こおぉ~、涙が、こぼれ~ないよおおに、思い出す~、春の日~、一人ぼおっちの夜ぅ~」

とても気持ち良く歌っていたみたいで、その歌声は2階にいた娘にまで聞こえ、思わず娘がツイッターで「うちのお父さん、何か気持よさそうに下で歌ってるよ。
珍しいけど、何か、かわいい」といったつぶやきをしてくれたようで、後にその話を聞いて、「いや~、それくらい感動したんやぁ」と、娘にかわいい(?)言い訳を、苦し紛れにしていました。
あ~恥ずかし。

もうお分かりだと思いますが、歌の名は「上を向いて歩こう」。
あの屈託のない笑顔と独特の節まわしで、日活で映画にもなった世界的なヒットソングです。

日本発の世界的なミリオンセラーになったのは、おそらく後にも先にもこの歌しかないのではないかと思います。

海外での名前は、なんと「スキヤキ」ソング。
富士でもなく芸者でもなく、寿司、天ぷらでもないところが、ヒットの一因かもしれませんね。

とにかく名前が覚えられやすく、最初はヨーロッパのラジオから火がつき、その後アメリカに飛び火。地方のラジオ局でリクエストがあちこちで起こり、最後は日系二世の人たちの心をとらえ、その圧倒的な支持により、アメリカでも大ブレークすることになりました。

そして当時、絶大なる人気で、誰もが出演を憧れる有名なTVショウで、日本で初めてかつ唯一のゲスト出演を果たし、あの九ちゃんの愛らしいキャラクターと魅力あふれる歌声やその歌詞、メロディーは「いいものはいい」と公平に評価してくれるアメリカの方々の心に響き、なんと全米ヒットチャート(ビルボード)を2週連続1位という、まさにアメリカンドリームを実現することになりました。

これは、本当にスゴイことだとつくづく思いますが、歌の持つ魅力や可能性、そして一瞬にして人々の心を掴み、国境を越えて人々の人生に何らかの共感や支え、癒し、そして勇気を与えるエネルギーが歌にあることが、この番組を見て改めてよく分かりました。

ただ「ローマは一日にして成らず」ではありませんが、その世界的な大ヒットの裏側には、その歌づくりや歌広めに関わった方々の地道、かつひたむきな想いと行動、そして共通の夢がありました。

心が晴れて、夢や理想に向かって勇気の一歩を踏み出すエネルギーが注ぎ込まれた。伝統の名曲。

戦後、焼け野原になってアイデンティティを見失った日本から世界的なヒットソングを何としても出したい・・・。

そんな夢物語のようなことを、レコードづくりに携わる方々が、各々の才能を掛け合わせていくことで、一歩一歩駆け上がっていったのです。

この歌の歌詞は、まだ学生だった永六輔さんが書き上げました。
大学生だった永さんは、当時の矛盾に満ちた世の中を様々な活動を通して、より良くしていきたいと色々なチャレンジをされていましたが、何をやってもはね返され、その悔しさやツラさから、自分や仲間をなぐさめ勇気づけるために、その気持ちをこの歌に託されました。

だからこの歌詞には、そういった困難や葛藤、不条理などから少しでも抜け出し、勇気や希望、そして誇りをもって生きようとする「エネルギー」が、いっぱい詰まっています。
そして、その気持ちを、決して暗くさせずに歌うことで心が晴れて明るくなり、夢や理想にむかって元気を出して、一歩を踏み出していきたくなるようなメロディーやリズムを、この詞に注ぎ込まれたのが、天才作曲家の中村八大さんでした。

曲のメリハリをきかせるために、哀愁の心に響くジャズのエッセンスや、明るく爽やかになれるアメリカンポップスのテンポも入れ、さらに日本人の心が歓ぶリズムをミックスするなどして、様々な国の人々のハートをつかむような工夫がきめ細かくなされ、細部に生命を注ぐ日本の職人魂や誇りのようなものが、この曲づくりに投影されていました。

そして、その最高の詞と曲を、八大さんは坂本九さんに託したのです。

天才的作曲家であり、プロデューサーでもあった中村八大さんは、九ちゃんのあの独特の節まわしや声質、声の出し方、リズム感、表現など、その才能や天性の魅力に気づいていました。

九ちゃんのその明るさと憎めない笑顔、そして誰にでも愛されるユニークなキャラクターを何とか生かして、日本いや世界に誇れる歌をつくりたい・・・。

そんな各々の人の想いや才能、個性が相乗効果しあって、まさに伝説的な名曲が誕生していきました。

作り手、歌い手、送り手の純粋な想いは今なお人々に勇気と癒しを届け続けています。

まさに「上を向いて歩こう」の名の通り、その歌は、戦後、自信と誇りを失いかけていた日本人に希望と勇気、そして誇りを与え、高度成長という「奇跡」を歌がエネルギーとなって陰で支えていきました。

さらにその歌は、戦前戦後に日本からアメリカへ渡り、屈辱的な差別や労働などを強いられてきた日系人たちにも癒しと希望、そして勇気を与えていきました。

「上を向いて歩こう」に注がれた、歌の作り手や歌い手、そして広め手の純粋かつひたむきな想いやエネルギーは、今なおその歌の中にエネルギーとして永遠に残り、時代が変わっても、朽ちることなく多くの方々の人生に希望と勇気、そして深い癒しと共感を与えてくれています。

歌の持つ力って本当にスゴイですね。

あの3月11日から、はや6ヶ月が過ぎようとしていますが、今こそもう一度、「がんばろう、日本」の合言葉のもとに、日本人の一人一人が、「上を向いて歩こう」を口ずさんで、皆で力を合わせて、失ったものの復興や、お互いの夢(幸せ、安心、充実など)を叶え合っていきたいものですね。

きっと九ちゃんも星になって、その夢の実現を応援してくれていると思います。
そうはいっても色々とありますが、一緒に「上を向いて、頑張って行(生)きましょう!」

六輔さん、八大さん、九ちゃん、素晴らしい歌を遺して下さって、本当にありがとう!

不朽の名曲に感謝。

合掌

Guts

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