戦国武将・木村重成に学ぶ

戦国武将・木村重成に学ぶ

博多の歴女●白駒妃登美の歴史ヒストリア
うちんTomodachi(私の親友たち)

第六話 戦国武将・木村重成に学ぶ

平然と、まるで春風が吹くように爽やか。
このスルーする力に敬服。

「ひとみさんが一番好きな歴史上の人物は誰ですか?」これほど答えに困る質問はありません。空海、島津斉彬、福澤諭吉…みんな魅力的で、ランキングなんて簡単につけられるものではありません。

ただ、「一番好きな戦国武将は?」と訊かれたら、私は迷わず”木村重成”を挙げるでしょう。

木村重成とは、大坂の陣で活躍した豊臣家の武将です。母親が豊臣秀頼の乳母(めのと)だったので、同年代の重成と秀頼は、本当の兄弟のようにして育ちました。

やがて豊臣家の重臣となった重成を、戦友の一人は、次のように述懐しています。

「丈(たけ)高く、色あくまで白く、眉(まゆ)黒々と際(きわ)だち、細い眼の眦(まなじり)が凛と上がった美丈夫(びじょうふ)(今でいう「イケメン」のことですね)で、たぐい稀(まれ)なる気品を備えていた。」

重成は、美しい外見と優しい洗練された物腰で、大坂城の女官たちの人気を一身に集めました。

彼の姿を見かけただけで、女官たちが騒いだと言われています。

実は私、重成のことを秘かに「戦国ジャニーズ」と呼んでいるのです(笑)。

これは、まだ大坂の陣が起こる前のこと。主君・秀頼の信頼が群を抜いて厚く、女性にモテモテ…そんな重成をやっかむ者が現れても、不思議ではありません。

どれだけ主君の信頼が厚くても、また女性に大人気でも、それは実績に裏打ちされてのものではないのです。

豊臣家臣団の中には、そんな彼の実戦経験の無さを揶揄する人が、少なくなかったそうです。けれども、どれほどの侮蔑を受けても、重成は平然と受け流すばかり。その態度は、まるで春風が吹くように爽やかだったといいます。

私はいつもどうでもいいことが気になって、時間や運を無駄遣いしている気がするので、重成のこのスルーする力には、敬服します。

では、彼がなぜこんなふうにスルーできたのか、次回はその秘密に迫っていきますね。

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