Episode10 : 湧き水と木陰のダブル冷却!大正時代の天然池プールへようこそ。

Episode10 : 湧き水と木陰のダブル冷却!大正時代の天然池プールへようこそ。

ほっと、ひと息♪井の頭散歩

今年も暑い季節がやってきますね。かんかん照りでも、水辺の木陰では体感温度は低いので、井の頭池の周辺は爽快です。今回は、昔の夏の池のお話です。散歩のお供にどうぞ。

湧き水と木陰のダブル冷却!大正時代の天然池プールへようこそ。

井の頭恩賜公園開園の4年後の大正10(1921)年、池の東端の水門近くに天然池プールがオープンしました。

なんと東京市営公園プールの第一号で、昔の絵葉書を見ていただくと分かるように、木製の飛込み台が設置されていました。
更衣場や児童用の徒歩池もあり、まだプールが珍しかった時代の夏の人気スポットになったそうです。
二枚目の絵葉書の芋洗い状態の混雑を見ると、その人気ぶりが容易に想像できます。
 
とはいえ、池の湧き水は冷たく、真夏でも2〜3時間ほどしか公開されなかったと伝えられています。

3月号でご紹介した太宰治の『ヴィヨンの妻』の一節に描写されていた戦後の公園では「すっかり伐り払われて」いた杉ですが、当時はまだ池の畔ぎりぎりまでびっしりと生えていましたから、杉木立の冷房効果が公開時間の短縮に追い打ちをかけたことでしょう。

そもそも近年の酷暑と比べて大正時代の夏の気温は低かったので、なおさらです。
 
戦中戦後に子どもだった町の長老が、澄んだ水に藻がゆらめく池で夏の夜こっそりと泳いだエピソードも以前の号でご紹介しましたが、自然の「涼」が暮らしに活かされていた昔が、ちょっと羨ましく思われますね。

身体が冷えすぎるほどにエアコンが効いた部屋を抜け出して、ときには木々が茂る水辺をそぞろ歩いてみてはいかがでしょうか。

井の頭公園では池の周辺はもちろん、玉川上水沿いの木陰の小道もアスファルトの照り返しがなく爽快に散歩できます。
土のままの地面に剪定された枝のチップが敷かれた道を歩けば、昔を旅する気分になれますよ。


昔の彩色絵葉書(『井の頭公園*まるごとガイドブック』より)。
神仏分離政策で明治2(1869)年に撤去された石鳥居を再利用した水門が中央やや左に見えるので、天然池プールの位置が推測できます。


昔の絵葉書(『井の頭公園*まるごとガイドブック』より)。
天然池プールにも畔にもたくさんの人が。プールの情景が絵葉書になっていたことからも、当時の公園の名物だったことが伺えます。

クイズ:いのけん問題(8)


井の頭池は、いつ頃まできれいに透き通っていたのでしょうか?

①戦争が終わった昭和20(1945)年頃まで
②高度経済成長期の昭和30年代まで
③昭和の終わりの昭和64(1989)年頃まで

※答えは②

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