ほっと、ひと息♪井の頭散歩
井の頭公園は、映画やドラマのロケ地としてもよく使われています。今回は、昭和29年に公園で撮影された映画のロケ風景をご紹介しながら、古い写真を紐解く魅力に触れてみます。
昔と今をつなぐモノクロ写真がいつもの公園に魔法をかける!?
左にご紹介する写真は、日活の映画『生きとし生けるもの』(原作・山本有三)のロケが井の頭公園で行われた時の様子です。昭和29(1954)年10月に土屋恂さんが撮影されました。
土屋さんは昭和2(1927)年生まれで、昭和9(1934)年から今も公園の近くにお住まいです。カメラが趣味のお父様に手ほどきされ、小学生の頃からフィルムの現像もモノクロプリントも自宅でしていた筋金入り。
戦後はお勤めの傍ら写真を続け、昭和29年から30年にかけては毎日新聞社「日本報道写真連盟」に登録し、地元の話題を投稿していました。左の写真も、その時期の一枚です。
「あ、こんな情景、見たことある」と感じるのは私だけではないでしょう。公園では時々ロケに遭遇しますからね。
大島弓子原作のコミック『グーグーだって猫である』(2008年)の映画製作中は、「ロケやってた! キョンキョン見た!」などと地域で話題になりました。
小泉今日子さんを目撃したら、普段の景色が非日常のベールに包まれます。俄然、興奮するのは今も昔も同じですね。
土屋さんが平成16(2004)年に出版された『吉祥寺消えた街角』(河出書房新書)の紹介記事を書くために取材でお訪ねしたのがご縁で、私は『懐かしの吉祥寺 昭和29・40年』(ぶんしん出版2011年発行)を企画し、その編集・執筆の過程で大量の写真を見ながら昔のエピソードを聞かせていただく至福の時を得ました。
一枚のモノクロ写真がつなげてくれる、昔の「その時」と今の私。皆さんも一度この写真を見てしまったら、ロケハントが公園散歩に欠かせないスパイスになってしまうのでは?
「井の頭公園にきていた行楽の人たちは思わぬ拾いものと三国連太郎や南すみ子、北原三枝の名演技をただで見物して大喜び」と土屋さんは新聞記事で伝えています。
『懐かしの吉祥寺 昭和29・40年』(ぶんしん出版2011年発行)は、新聞記事に解説を添えた「街の記録」、昭和40年の吉祥寺駅周辺の写真をまとめた「街の記憶」と、「吉祥寺の今昔」の3章の構成。
クイズ:いのけん問題(8)
井の頭恩賜公園で昭和28(1953)年から昭和30(1955)年に開催されていた美人コンテストの名称は?
①井の頭美人コンテスト
②吉祥寺美人コンテスト
③ミス井の頭コンテスト
④ミス吉祥寺コンテスト
※答えは③