第四話 エドゥアール・マネ 「鉄道」

第四話 エドゥアール・マネ 「鉄道」

エドゥアール・マネ
「鉄道」(1872~1873年)
ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵

絵画が楽しくなる『色』のお話 ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻の肖像画」

この作品のタイトルは「鉄道」。でも、描かれているのは、母と子の姿で鉄道はありません。そこが気になってしまう人は多いと思います。

印象派のモネやルノワールの先輩であるエドゥアール・マネは、19世紀の近代化されたパリの都市風景などを描きました。その中で、この「鉄道」は、サン・ラザール駅が舞台で、都市の工業、産業の発展を表す様子を「近代化」というテーマで描かれたのでしょう。
そして、この母娘の姿も、当時の人間関係の「近代化」により生まれたものとして、描写していると考えられます。

ここで、色彩から二人の心情を探って想像してみましょう。
子どもは、柵の向こうの鉄道や駅に興味を持っているようですが、母は犬を抱き、本を読んでいる様子。そして、着ているドレスは深いブルー。
西洋では母性をブルーで表すことから、その意味はあるでしょうが、この場合は「自分の世界に入っている」という様子で、子どもへの関心の薄さ、つまらない(微妙な表情)という感情が同時に存在しているようにも見えます。

そして、子どものドレスにもブルーが施されていますが、こちらは、やや明るいブルー。
子どもの顔は見えないですが、どのような表情を想像しますか?
色からは何かを期待していると考えられます。
この明度の違いは、母と子の内面にある感情の温度差として現れているのではないでしょうか。

先を照らす光の色。近代化による人間関係の希薄さが明るくなるように、そんな願いが込められていると感じます。

時の近代化された母娘の関係は、今描くならば、スマホに目を向ける母と、外に出たい子ども?
しかし、ドレスの白からは、未来への可能性がいっぱい、という思いが。
そして、蒸気の白からも先を照らす光の色、というメッセージが潜んでいるのかもしれません。
これにより、当時の近代化による人間関係の希薄さが明るくなるように、という願いが込められていると感じます

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