雑誌やYouTubeで本や著者の紹介を連載しているサトケンが、あなたの中にすでにあるものを思い出し、生きる歓びを見出す本とのご縁を繋ぎます。
select10
「ラディカルラブ」
サティシュ・クマール(著)
辻信一(訳)
<株式会社素敬>
愛こそが、すべての問題に対する唯一の解決策であることを私は発見した
このコラムの第一冊目で紹介したサティシュ・クマールさんが、昨年11月に新刊『ラディカルラブ』の出版と同名の新作映画の完成記念講演で来日されました。
サティシュさんのいう「ラディカルラブ」とは、自分が好きな人だけを愛するだけでなく、嫌いな人や意見の合わない人も愛する根源的な愛。ただいろんな意見があるということを認めるだけでなく、さらに一歩進んで互いを嫌い合うことなく根源的な共通点を見出していくという深い愛のこと。
人間至上主義ではなく、すべての生命は同じ1つの源から生まれ、多様性として進化しながら、分離ではなく、互いに補完し合っていることを思い出して、つながりの物語を受け入れ、抱きしめることによって、戦争や環境問題、今世界で大きな問題となっていることの全てが解決する。その糸口が根源的な愛にあると。
そして、愛の世界に向けて絶望や悲観をしている場合ではなく、楽観的で信念を貫く勇気を持つこと、希望を持って前に進むこと提唱しています。
「希望とは、何かがうまくいくと確信することではなく、それがどの程度うまくいくかにかかわらず、でもやっぱりこれが道理にかなっていると確信すること」という言葉や、「よき船は港に停泊していれば安全だ。それは間違いない。だが、よき船はそのために作られたのではない」という言葉を引用しつつ、ボク達がそれぞれの足元の受け持ちの場所でよき船として海に出て風に立ち向かいながら航海すること、活動することを後押ししてくれます。大丈夫。自然そのものが私たちのモデルになってくれると。
そして、平和や幸福に至る道は無い、平和や幸福こそが道なのだと教え、行動することに意味と勇気を与えてくれる、心からお勧めできる本です。
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