小さな生命と繋がりながら、私達は生かし生かされている。
こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?
昨春の初の緊急事態宣言以来、四季は巡り、一年が経ちました。思い思いに大変な出来事があったかと思います。それでも桜の花は「大丈夫だよ」と言わんばかりに咲き誇り、私達に生命の輝きと明るさを届けてくれています。大変な時だからこそ、山川草木の自然の営み、生命の循環が眩しく、愛おしく、日々のストレスを癒してくれる。
コロナ禍での巣ごもり期間中にガーデニングや自家栽培を始めたり、新たにペットを迎え入れる人が増えたことも頷けます。生命あるものを愛でる、育てる、慈しむ、そして物言わずとも対話することで小さな生命と繋がり、エネルギーを交換しながら私達は生かし生かされていることに気づいていく・・・。無情無常なコロナウイルスではありますが、その極微のウイルスでさえ、自分の生命を守り、安心して過ごせるいい宿主(細胞)を探して共生しようと生きている。だとしたら、いい悪いを越えて、私達人間がエゴに走らず、自然や生命あるものと共に生かし生かされることに目覚めるために、このパンデミックが起こっているのかもしれませんね。
因みに我が家では、一昨年に17歳のメスのチワワ、バンビを亡くし、昨年末にはやはり17年共に過ごしたラディというオスのチワワも亡くして、ワンちゃんはエマという5歳のメスのチワワだけになってしまいました。
ここ20年、最初の1匹から2匹、3匹と、ワンちゃん達が我が家の家族同様の存在になっていったから、その喪失感や淋しさはとても大きいものでした。
よくペットは飼い主に似ると言いますが、最初に迎えたバンビはおてんばで、喜怒哀楽が激しく、とてもチャーミングなメス犬で嫁さんそっくりでした。2匹目のラディは、マイペースで穏やかで、いつも2匹のメスのワンちゃんを温かく見守っている存在で、少し私に近いところがありました。そして3匹目のエマは、配達の人が玄関に来ると歓迎するようにお迎えに行き、友人達が遊びに来れば分け隔てなく甘えて抱っこされて、その人懐っこさは娘に通ずるものがありました。
我が家は一人娘の3人家族で、娘の小中学時代は山村留学していたため、早くから夫婦2人の生活が長かったので、自然とワンちゃん達が子供のような存在になっていきました。
20年前に最初のバンビを飼う時は、私は建てたばかりの新築の家が汚れる恐れと、あまり動物が好きでもなかった自分の性格から、動物を迎え入れることに抵抗していました。でもそれは嫁さんと娘の強い願いに押されてむなしい抵抗となり、せめて「名前だけはお父さんにつけさせてくれ」と言って、直感的に名付けたのが「バンビ」という名前でした。
結果的には、この名付け親としての無意識の自覚が子育てのごとく世話を焼く一番の飼育係に化していくとは夢にも思いませんでした。愛すべき存在の生命を守り、育むという責任感は、知らず知らずに飼い主を変化、成長させているのだから、本当に不思議です。
何とかしたいと無我夢中でもがいた爪跡が、大切なものを生んだり、育んだりしていくのですね。
そういえば、娘が幼少期の頃にアトピーを患い、自然食品の大切さや過剰な添加物、化学合成物、保存料などの害などを学び、その治療のためにいろいろな自然素材や食事法、発酵食品、天然のお水や衣類などを試して症状を改善していったことが、今私達が取り扱っている『月のしずく』や『土のフローラ』などの商品コンセプトに繋がっていきました。そして8年ほど前に、老犬になったバンビの足腰が立たなくなってしまった時に、友人の獣医の先生から、原因は添加物の多いドッグフードにあるという貴重なアドバイスをいただいて、試行錯誤を繰り返しながら夢中で作っていったのが『ドッグスタンス』という無添加の鹿肉ドッグフードです。
目の前の問題を何とかしたいと無我夢中でもがいた爪跡が、思いもよらなかった大切なものを生んだり、育んだりしていくのですね。
おかげ様でバンビはそのフードのおかげで劇的に回復し、17歳まで元気に生きて私達家族を楽しませ、母親のようにエマを育ててくれました。
と同時に、同じようなシニア犬で重篤な症状で苦しむワンちゃんを救うきっかけとなり、たくさんの飼い主さん家族に笑顔と安心、希望を与えてくれたのだと思います。
バンビはワンちゃんの食の大切さを私に教えてくれました。娘のアトピーを機に、自然食、天然素材の大切さに気づいた私も、まさか娘のアトピーと老犬の生活習慣病が、同じ構図で食べ物の世界にあてはまっているとは、バンビを犠牲にして初めて知ることになりました。
もちろん家計のこともあり、人間の食でも理想と現実を埋めるのは難しいことですが、大病を患ってからでは予想以上の医療費がかかりますので、食の改善、お水の改善などを早めに少しずつやっておいた方がいいんだということをバンビを通じて学びました。
生命の中で繋がり、育み合い、生かし合っていくことが一番の幸せ。
我が家は少し特別な経験をさせていただいているのかもしれませんが、生命あるものを迎え、育み、愛しみ、対話していくことで様々な出来事や物語が生まれ、大切な思い出や価値となって、ご家族の色とりどりのファミリーヒストリーを生んでいるのかもしれません。そしてそれらを日々無私夢中で育むことが、自分達の生きる糧や生き甲斐になっているのだと、今まで3匹のワンちゃんを飼ってきてつくづく思います。
コロナ禍で個々が孤立して、触れ合い、温もりを感じられない昨今だからこそ、新たな生命と繋がりたい・・・。それは我が家とて同じでした。今度は私と娘が共同作戦を企て、淋しがり屋の嫁さんを上手に盛り上げて、エマにそっくりな生後数ヶ月の幼犬チワワを迎えました。名は「もなか」。甘えん坊で人懐っこくて、ヤンチャでとても可愛らしいメスのチワワです。この春からは娘も一人暮らしを始めるので、私達夫婦の疑似育児体験がまた始まります。
今日もあっちにウンチこっちにオシッコと、「あ~あ」とため息をつきながらも、微笑みながら、元気一杯のおてんばワンコからエネルギーをいっぱいもらっています。
娘と、もなかとエマ
私も今年で還暦ですが、あと17~18年は元気に長生きしないと・・・という生き甲斐も生まれてきます。人間は何歳になっても生命の中で繋がり、育み合い、生かし合って生きていくことが一番の幸せなのかもしれませんね。
時節の巡り、新陳代謝の始まりの春。外へ出て、桜を愛で、春風に触れ、身も心も軽くして、新たな四季の始まりを希望と共に味わっていきたいものですね。
Guts