第11話 お米の「油」の話。

第11話 お米の「油」の話。

長田竜太のお米の話 第11話

お米の「油」の話。

〜 米油は水田から採れる純国産の植物油。 〜

お米から油が採れることはご存じでしょうか? 
正確には玄米を精米した時に廃棄される米糠から油が採れるのです。

これまでお話ししてきたように、米糠には沢山の栄養分が含まれており、その中に油があるのです。
お米から採れる「米油」はとても私たちの健康によい油
です。

まずは油の代表的な栄養成分として「ビタミンE」があります。

ビタミンEは細胞の健康維持を助ける栄養素で、日本人の摂るビタミンEの30%は植物油から摂取しています。
実はビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールの2種類がありますが、トコトリエノールはトコフェロールの約50倍の抗酸化力で「スーパービタミンE」と呼ばれており、米油に豊富に含まれています。

また悪玉コレステロールを減らす「オレイン酸」が42%もあり、血中コレステロールを下げる「リノール酸」も37%あります。

さらに「ガンマオリザノール」という他の植物油には無い米油特有の成分では、更年期障害や自律神経失調症などに効果があるとして、すでに薬品として使用されています。さらにさらに米油はなんとコレステロールゼロの植物油なのです。

米油の優れている点は栄養面だけではありません。

酸化安定性に優れているため国内メーカーのポテトチップの大半がこの米油で揚げられています。
また、高級な天ぷら屋さんなどでは米油を使っています。これは「アクロレイン」という胸焼け油酔い成分が低いため、天ぷらのコースを最後まで美味しく頂けるためです。

ただこんなにも素晴らしい米油が、あまりスーパーの店頭では見かけないのはなぜでしょうか。

それは1967年に起こったカネミ油症事件が起因しています。この事件は米油の製造過程でダイオキシンが混入し、健康被害が1万4千人に上った大規模な食品公害事件です。

この事件は米油そのものに害は無かったにも関わらず、被害の大きさから米油のイメージが墜落し、店頭から姿を消したのです。

しかし時が半世紀近く経過し、本来の米油の価値が見直され始めました。
一部の学校給食では、純国産の遺伝子組み換えでない植物油として使用されております。

米油は毎年日本の水田から採れる油。
まさに油田でもある水田は私たち日本人の宝なのです。

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