長田竜太のお米の話 第十話
お米は常に進化しています。
〜 水田を守ることで、私たちの生活が豊かに 〜
皆さんは、お米の種類や品種をどれくらいご存じでしょうか?
私たち日本人が好んで食べているのがジャポニカ種です。
他は中粒種やインディカ種で、タイ米と言われる長細いお米です。なんと世界のお米の生産量の80%以上がこのインディカ種です。
日本で品種といえばコシヒカリがもっとも有名ですが、他に約300品種のお米が各地で栽培され、さらなる品種改良で毎年沢山の品種が常に生み出されています。
お米に含まれるデンプンには、アミロースとアミロペクチンの2種類があり、お餅の粘りはアミロペクチンにあるため、もち米のデンプンはアミロースが0%。品種改良により生まれた「低アミロース米」は、うるち米なのに炊いた時にもち米のように粘り気があり、冷めても固くならないという特徴で、お弁当に適したお米が出来たわけです。
さらに美味しさだけでなく、冷害に耐える品種や病気にかかりにくい品種等、日本の米の品種改良技術は世界一だと言っても過言ではないでしょう。
このような品種改良ができるようになったのは、2004年にイネの遺伝子配列が全て解明されたおかげであり、これまでかなりの時間がかかった交配が今後はさらにスピードアップし、多種多様な品種が出来ることでしょう。
また今後は、機能性に特化したお米の登場も期待されます。
一つは花粉症に悩む人たちに朗報になる花粉症予防米です。花粉症の季節になる半年ほど前からこのお米を食べることで身体に花粉症の免疫ができ、症状を緩和するもので、かなりの効果が期待できます。
また難消化性デンプンが多く含まれるお米の品種では、血中のコレステロールを体外へ排出する機能性が確認されており、中高年の生活習慣病改善に一役立ちそうです。
さらに、ご飯として食べるお米だけでなく、お米から摂れる油でエステ用のキャリアオイルが出来たり、住宅用塗料が出来たりと、様々なお米の形が今もなお進化しております。
日本にはこのように様々な進化を遂げるお米が毎年収穫できる水田があります。この水田こそが日本の資源です。
水田を守り続けることこそ、これからの私たちの環境のみならず、生活をも豊かにしてくれることでしょう。