長田竜太のお米の話 第六話
お米は素晴らしい保存食
〜 抗酸化成分で覆われた玄米 〜
皆さんは、お米の袋の表示には賞味期限が書かれていないことをご存じでしょうか。
加工食品は全て賞味(消費)期限を明記することが法律で義務づけされています。お米は精米という加工工程を経て袋詰めされているにもかかわらず、加工品ではなく野菜や果樹と同じように賞味(消費)期限が表示されていないのです。
その代わり、お米の袋には産地・品種の他に精米年月日を表示するよう法律で決められています。
ちなみに、未開封で表示された保存方法で美味しく食べられる期限が賞味期限で、消費期限は食べても安全な期限のことです。
野菜と同様に精米した白米は鮮度が重要ですが、保存方法は皆さんどのようにされているでしょうか。
お米は精米直後から酸化が始まります。
だから炊く前には必ず食味を落とす酸化した糠を除くために研ぐわけです。
ではその酸化を遅らせる方法はどうしたら良いでしょうか。
保存食のイメージが強いお米は常温で保管している方が多いようですが、野菜と同じように冷蔵庫保存がお奨めです。
できれば冷蔵庫の野菜庫ならさらにグッドです。
期限表示が無い野菜は見た目で腐ってきているかどうか判断がつきますが、お米は見た目では判断しにくいので、精米後約1ケ月ほどを目安に消費するのがベストです。
ではなぜ精米後から酸化するお米が保存食であるというイメージがあるのでしょうか。
それは昔、玄米食がほとんどだったためです。玄米は白米に比べて保存力がかなりあります。
玄米は白米を糠の層で覆っていて、その糠の成分には酸化を強力に防ぐガンマオリザノールという抗酸化成分が含まれており、その周りを種皮という皮で覆って酸化を防いでいるのです。
またお米は収穫時から乾燥調整に至るまで籾殻に覆われた形です。
この籾殻の主成分はシリカです。シリカはガラスになる原料ですので、つまりお米は一粒ずつガラスのカプセルに覆われ、さらに抗酸化成分で覆われているという他の穀類とは比べものにならないくらいの超スーパー保存食なのです。
このようにお米は保存食であるということは紛れもない事実ですが、白米は生鮮品と同じであることも併せて知っておくことも、美味しくご飯を食べる知恵であります。